本書はリンダ・オキーフのまとめた靴の図録です。
書名を訳すと「パンプス、サンダル、スリッパなどの祝賀会」といったところでしょうか。19世紀・20世紀に制作された多くの靴たちを写真と解説で凝縮しています。
1~3足の靴ごとに1頁の簡単な説明が付されていて、靴の素材や形態、それに社会状況を知ることができます。
著者について
著者リンダ・オキーフ(Linda O’Keeffe)は雑誌を中心に多くの出版物に貢献してきたジャーナリスト、ファッションの専門家です。
「コスモポリタン」「ハーパース・バザー」「ジーキュー」「ディテール」」「ニューヨークタイムス」「インタビュー」「エル・デコ」その他に従事してきました。
現在は「メトロポリタン・ホーム」誌の設計・建築のシニアエディターを務めます。ニューヨーク市でいろんな靴のコレクションとともに暮らしています。
こちらに詳しいバイオグラフィーと最近の活動がまとめられているのでご参照ください。「Biography – Linda O’Keeffe」
本書の観点:靴はロマンスと興奮を約束する
著者自身のコレクションと博物館のコレクションから、古今東西の靴を紹介しています。
序文ではシンデレラの話をもちだして、次のように語りかけます。靴が女性たちの生活を魔法のように変えることができると信じている女子たちに、そのとおりに靴はロマンスと興奮を約束してくれます。
目は魂への窓かもしれませんが、靴は精神への入り口です。
靴は変化の原動力で、過去を脱却し未来へと進む手段です。長い歴史のなかで女性の靴は暗闇の中で保管されてきました。また、ペチコートやクリノリンの下に隠されてきました。
靴は女性の装いのなかで最も身近な部分の一つなのに、意外と明らかにされていません。
アメリカ人女性は平均で少なくとも30足の靴をもっています。情熱的なコレクターは何百もの靴を所有しています。
著者は提案します。
もし愛する靴に出会えたら全色購入しましょう。
同上書13頁。
同時に、
体重を増やしたり減らしたりしないでください。
同上書13頁。
とも。
本書の感想
奇抜です、本も靴も…。
靴は衣料品の中で最も奇妙な歴史を持っているといっても過誤ではありません。
- ヴィヴィエ、ブラニク、ウェストウッド
- 15世紀の2フィート高の木製プラットフォームと1960年代・1970年代のプラットフォーム・シューズへの復活
- 纏足靴とハイヒール・シューズの逆説
- チュール、ブロケード、ラインストーン、ガラス、魚鱗、羽毛の上皮などが表面に縫い込まれた靴の数々
有名人の靴が目白押し
有名人たちの靴、たとえばガブリエル・シャネル)の爪先、ジャッキー・O(Jacqueline Kennedy Onassis)のパンプス、マリリン・モンローのスティレット・ヒール…等々。女性履物が1,000枚以上のカラー写真で紹介されているので感嘆します。
説明が詳しい
靴についての魅力的な事実も短文で散りばめられているので、パラパラめくるだけでも、たまに本文を読んでも、うっとり楽しめます。
本文は靴職人・靴設計師たちのプロフィールや印刷に記録された靴たちのプロフィールで満ち溢れています。
みなさんは、アンドレ・クレージュの未来的ゴーゴー・ブーツを覚えていますか?
事例
目次
- 前書き
- 靴は進む必要があります:サンダル
- ファッションの高さ:ヒール
- ファンシーという特技:スリッパ
- パンプスと環境:靴のリトルブラックドレス
- 繊細な靴が作られた理由は…
- 偉大な前進:ブーツ
- 巧妙な行動:チョピンとプラットフォーム
- スキャンダルな靴:フェティッシュとロータス・シューズ(纏足靴)
- 芸術と唯一無二:靴といえば靴
- 索引
纏足靴(可愛らしい杯状靴)
アンドレ・クレージュのゴーゴー・ブーツ
ヴィヴィアン・ウェストウッドの男根靴(ペニス・シューズ)
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Linda O’Keeffe, Shoes: A Celebration of Pumps, Sandals, Slippers & More,Workman Pub Co, 1996.
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