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クレア・ウェスト:初の映画会社専属デザイナー

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クレア・ウェスト:初の映画会社専属デザイナー

クレア・ウェスト Clare West は初めて映画会社の専属デザイナー(スタジオ・デザイナー)になった人物です。大学を卒業後パリで学び、ファッション・アーティストになりました。

無声映画時代にアール・デコ調のデザインを特徴としました。セシル・ブラウント・デミルで働いた後、女優姉妹のノーマ・タルマッジとコンスタンス・タルマッジと契約。彼女のたちの出演する映画衣装をデザインしました。

クレア・ウェスト:スケッチをデザインしているクレア・ウェスト。

スケッチをデザインしているクレア・ウェスト。 via Clare West – Women Film Pioneers Project

キャリア

フェイマス・プレイヤーズ・ラスキー社へ

クレア・ウェストの最初の重要な映画は「Intolerance」(1916年)で制作に2年かかったといわれます。この映画の後、1918年に彼女はセシル・ブラウント・デミル(Cecil Blount DeMille)監督と契約し、フェイマス・プレイヤーズ・ラスキー社のデザイナーになりました。

当時デミルはグロリア・スワンソン(Gloria Swanson)、ビーブ・ダニエルズ (Bebe Daniels)、メイ・マレー (Mae Murray)のようなスターたちと一緒に洗練された映画を制作していました。スワンソンの希望は、全ての場面で違ったガウンを着用して、着るたびに豪華な服になっていくというものでした。

クレア・ウェストのデザインしたガウンを着るグロリア・スワンソン。映画「男と女」(Male and Female, 1919)。

クレア・ウェストのデザインしたガウンを着るグロリア・スワンソン。映画「男と女」(Male and Female, 1919)。via Costumers – Cecil B. DeMille

振り返ってみると、デミルのスターたちが着ている服は奇妙に見えますが、制作者は服が現実的かどうかを気にしませんでした。デミルの制作する映画が成功するレシピはセックス、セット、衣装ということが分かっていたからです。

彼の映画は一般大衆に人気がありました。クレア・ウェストの作った風変わりなアウトレット・スタイルも人気があり、ファン雑誌でしょっちゅう取り上げられました。

クレア・ウェストのデザインしたフラッパー・コスチューム。映画「屠殺者」(Manslaughter, 1922年)。

クレア・ウェストのデザインしたフラッパー・コスチューム。映画「屠殺者」(Manslaughter, 1922年)。via Costumers – Cecil B. DeMille

1923年にウェストはコメディ映画「ハリウッド」に出演しました。

デミル監督とウェストは10本の映画で協力しました。中でも同1923年に公開された映画でウェストは今まで以上に大規模に衣装デザインをしました。「十戒」です。この映画は猛烈な調査や研究をふまえて制作されたために1950年代になっても上映されていました。ウェストは300点以上の衣装をデザインし、制作には100人以上の裁縫師が投入されました。

ファースト・ナショナル・ピクチャーズ社へ

ウェストは1924年にデミルのスタジオを去り、ファースト・ナショナル・ピクチャーズ社に移籍しました。そこでウェストは女優姉妹のノーマ・タルマッジ(Norma Talmadge)とコンスタンス・タルマッジ(Constance Talmadge)が出演する映画の衣装をデザインしました。

ノーマ・タルマッジと結婚したジョセフ・M・シェンク下の仕事を続ける傍ら、バスター・キートン監督・主演の「海底王キートン」(The Navigator, 1924年)では、キャスリン・マクガイア(Kathryn McGuire)用に極楽鳥のフリンジ・トリムを付けたランジェリーをデザインしました。

フリーランス風に

1925年、 メトロ・ゴールドウィン・メイヤー配給・エリッヒ・フォン・シュトロハイム監督の映画「The Merry Widow」でウェストはメイ・マレー(Mae Murray)用に34点の衣装を作りました。

同1925年に彼女はルーシー・ダフ=ゴードン(Lucy, Lady Duff Gordon)、トラヴィス・バントンハワード・グリアらのデザイナーと共にパラマウント社配給、リートライス・ジョイ (Leatrice Joy) 主演の映画「The Dressmaker from Paris」(パリから来たドレスメイカー)でファッション・ショーのランウェイ衣装をデザインしました。

クレア・ウェストの功績

「Intolerance」(1916年)以降、ウェストは映画でしか着られない衣装を作っていきオート・クチュールの世界と映画の世界を分離させたという実績があります。

1910年代の俳優たちはしばしば自分で用意した衣装を着て、「ワードローブ」は生地屋の担当でした。生地屋は既製品を購入・賃貸・補充するだけでした。1920年代後半まで衣装部門は必須という訳ではありませんでしたが、クレア・ウェストは「Intolerance」を機に衣装部門の初期事業所を設定し、「スタジオ・デザイナー」という信頼度の高い資格を与えました。

関連リンク

  • Costumers – Cecil B. DeMille:クレア・ウェストが協力したセシル・ブラウント・デミルの財団公式サイト内、衣装デザインを担当したコスチューマーたちの略歴。呉ア・ウェストは一人目に掲載。
  • Clare West – Women Film Pioneers Project:コロンビア大学の「ウィメン・フィルム・パイオニア・プロジェクト」(女性映画先駆者企画)のクレア・ウェストの伝記ページ。フィルモグラフィーとバイオグラフィー。
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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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