ロバート・メイプルソープ(Robert Mapplethorpe)は米国出身の写真家(1946~89年)。2000年代まで多くの女性カメラマンたちの心を掴んできた。
経歴
1946年にニューヨーク州ロング・アイランドのフローラル・パークに生まれる。
10代はサックスを演奏しミュージシャン志向。1952年にブルックリンに転居し、プラット・インスティチュートで絵画や彫刻を学ぶ。当時活躍していたアンディ・ウォーホルらの作品に傾倒。
パティ・スミスとの出会い
1967年、詩人で歌手のパティ・スミスと知り合い、共同生活を開始。
表現手段としての写真にシフトしていったのは、1970年初頭からで、ポルノ雑誌を切り取ってコラージュの制作をしていた。
1972年に大型ポラロイドカメラを手に入れてから、自分自身やパティ・スミスをモデルにしたり身の回りの静物を使ったり、カメラの訓練を試行錯誤的にスタート。
アンダーグラウンドのアーティストや作曲家・社交界の名士・ポルノスターたちを撮りSM写真も多数撮影した。この頃から19世紀から20世紀全般のヴィンテージ・プリントの収集を友人のサム・ワグスタフとともに始めた。
1973年にニューヨーク・ガーデンブック・マートのグループ展でポラロイド作品を初出展。
1976年にライト・ ギャラリーでポラロイドによる初個展を開催。花やポートレートなどの作品を着色した箱に入れて展示した。この頃からネガ・フィルムによる作品制作も始めている。
1978年にミッドタウンの有名画廊ロバート・ミラーでパティ・スミスのポートレートを展示し、これを機に同画廊の専属となった。
リサ・ライオンとの出会い
1980年に女性のボディー・ビルダー、リサ・ライオンと知り合い、ポートレート・シリーズの制作を開始。1983年に写真集『Lady Lisa Lyon』としてまとめられた。
1980年代に入り著名度がアップし、各界の有名人たちからポートレート写真の依頼が殺到した。商業雑誌やイヴ・サン・ローランなどの広告の仕事を手がけたのもこの頃。
生地へのこだわり
1980年代前半の作風は、被写体(対象)の気品と古典的な礼儀正しい美への強調に向かってシフト。
コマーシャル写真を機に、カラー写真にも取り組み始め、1985年以降は、多種多様な手法の表現方法を模索、リネン地にプラチナ・プリント、シルク地にグラビア・プリントなどを始め、作品を展示するフレームにもこだわりを見せるようになった。
エイズの発覚
1986年にエイズが発覚。病状の悪化に伴い、遺産管理の目的でメイプルソープ財団が設立。
1988年に、ニューヨークのホイットニー美術館で、写真家としては初の大規模な回顧展が開催された。またペンシルバニア大学が『The perfect moment』という回顧展を企画して全米を巡回した。
その後にシカゴのコルコーラン美術館が展示作品が不適切とのことで開催を中止し物議をかもしたことは記憶に新しい。
1989年3月9日死亡、18日にホイットニー美術館で追悼式が行なわれた。
作風
作品は、研ぎ澄まされた視線によるセクシュアリティを追求したヌード写真やセックス写真をはじめ、花・華にこだわった作品など。特にスキャンダラスなヌードでは、パティ・スミスの全裸写真やゲイ行為の写真などで話題を提供してきた。
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