本書はアメリカで通販カタログとして有名だった「Sears Catalogs」からオススメの広告写真を時代別にまとめたものです。本誌は1960年代。
2018年4月6日にAmazonの中古で買いました。私の本棚の一冊です。
書誌情報は次のとおりです。
JoAnne Olian ed., Everyday Fashions of the Sixtiesn As Pictured in Sears Catalogs, Dover Publications, 1999.
ローバック社が「Sears Catalogs」の1960-1969分から再出版。 ジョアン・オリアンによる編集と序文。白黒画像は約300点収められています。紙製です。
本書のポイント
多くの画像には、キャッチフレーズ、機能、色、サイズ、および価格などを記したオリジナルのキャプションがついています。
このキャプションは当時のファッションのキーワードとなるので助かります。また、購買者はアメリカの一般人でしょうから、どのようなストリート・ファッションやホームウェアが当時のアメリカで流行っていたのかが分かります。
本書の概要
1960年代に人々が身に着けていたものの包括的な回顧録です。
この活気的な編集は、トレンドの方向の変化をとおして、10年間の大きな社会的変化をみせてくれます。
1960年代の変化を知れる
「シアーズ・カタログ」の誌面は保守的な衣服から遠ざかっていく時代の動きをたどります。
デニム・ドレス、スマートな帽子、華やかな手袋、カジュアルになったスポーツウェア、スラックス、バンロンのような洗濯着の生地が好まれていたことがわかります。
ニューヨーク市立美術館の衣装コレクションのキュレーターであるジョアン・オリアン(JoAnne Olian)は、ファーストレディだったジャクリーン・ケネディ・オナシスのトレンドが与えた影響から、10年間にわたる激動の変化を記録し、有益な序文を記しています。
実際にどんな変化があったのか
1960年代といえば、マリー・クワントのデザインがイギリスを席巻し、若者志向の文化が台頭しました。
水着、ランジェリー、プレイウェアから、ブライダルアンサンブル、マドラスジャケット、ビニール製スリッカーコート、そして実にいろんなズボンまで、あらゆるページで男性用、女性用、子供用の衣服がたくさんの写真やイラストで描かれています。
バミューダパンツにショートパンツ。アクリル系のモダクリル繊維を使ったストレッチ・ウィッグからサイケデリックカラーの女性用フラットシューズまで、さまざまなアクセサリーが登場します。
通販カタログの人気
アメリカ人は植民地時代から、年鑑、新聞、雑誌、ハウツーマニュアルを好む傾向がありました。
ロマンす小説やポエムよりも長い歴史をもちます。
アメリカ人は比較的似たような服を着てきた
通信販売のカタログは最初の特徴的なアメリカ風の本と呼ばれてきました。
アメリカ人が比較的均質な外観をしている主な理由の1つが、この雑誌を愛読する消費者だったことです。
「ハーパース・バザー」は1867年に出版された創刊号で、服の均一性が米国の人々の特徴だと述べました。富裕層と労働者、妻とメイドは同じ素材の服を着ています。他方、アップルトンのとある作家の書いた「ニューヨーク」でも区別がないことを誇りにしていました。
大都市だけでなく、田舎や小さな村でも同じ格好の特徴が見られます。一般的な適合性にもとづいたファッションの雰囲気が感じられます。遠隔地の大草原に住む農家に、ファッションを手頃な価格で提供した通信販売は、細かい点にはこだわりませんでした。
通販カタログの影響
通信販売カタログの影響は外国の観察者にも明らかでした。
スカンジナビア人がイタリア人から、そして先住民族のアメリカ人から、感情、生活様式、職業でさえも離れているのに、彼らはほぼ同じ商品の購入者でありました。このことを1919年にイギリスの経済学者は観察しています。
家族のための購買エージェントとして農場の妻は、通販カタログの提供する物質的世界を享受しました。
身なりのよい姿は、通信販売の会社によって少なからず助けられていました。遠い牧草地に住んでいる農家に手頃な価格のファッションを提供しました。最も遠い農場に住んでいる移民たちがアメリカ化する大きな原因となったのは、通信販売カタログの影響でした。
いろんな人たちが自分たちの家をシアーズ・スタイルで装飾し、シアーズに描かれた最新ファッションにしたがって衣服を着ました。自らのファッションを意識した都市部の娘たちや農夫の娘たちも同じでした。
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