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ルイ・フェロー:意外な形でゴダール映画に登場した衣装デザイナー

1960年代ファッション
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ルイ・フェロー:Louis Feraud

ルイ・フェローはフランスのアルルに生まれたファッション・デザイナーです。1920年~1999年。

1949年にカンヌで開業。カンヌ映画祭に来る映画スターたちを顧客にしました。1960年代にヌーベル・バーグといわれたデザイナーの1人です。

経歴

ルイ・フェローは1920年にフランスのアルルに生まれました。

第2次大戦中に対独レジスタンス運動に加わり投獄。獄中でデザインや裁縫を勉強しました。

創業からパリ進出まで

1949年にカンヌで創業(1950年説あり)。

1955年までに拠点をパリへ移し、オート・クチュール業界へ進出。フォーブル・サントノレ通りとピエール・シャロンヌ通りに開店。

ここでパリ女性を対象にした快活な作品を発表し、ブリジッド・バルドーらを顧客にしました。彼女の多くの映画で衣装をデザインしています。

1960年代 : プレタ・ポルテへ進出

1960年からプレタ・ポルテ業界にも進出。スポーツ好きからスポーツウェアに意欲を燃やし、ニーブーツやヘルメットのデザインも手がけるようになります。

1961年にニューヨークで開いたショーは「ニューヨークがフェローに捧げられた」と絶讃されました。同市の有名店アンドリュー・アーキン(Andrew Arkin)のデザインを担当しました。

1960年代初頭にデザイナーのジャン・ルイ・シェレル(Jean-Louis Scherrer)、マルギット・ブランド(Margit Brandt)、パー・スプーク(Per Spook)を雇いました。

1970年代

1970年代・1980年代・1990年代とオート・クチュール部門のヘッド・デザイナーを勤めてきたのはアイスランド出身のエルガ・ビョーンソン(Helga Björnsson)です。

演劇的で革新的なスタイルで知られます。

1970年にフェローはドイツのフィンク社と契約し、女性用プレタ・ポルテのコレクションを発表。

バイアス裁ちの美(ルイ・フェロー) via Vogue France, No.534, 1973, Mars, p134.

この作品は「ヴォーグ」誌フランス版(1973年3月号)に掲載されたフェローの広告です。

白色のジョーゼット・クレープ地に白色で模様を織りだしたローブです。スカートはバイアス裁断にしてあるので朝顔形(フレア)に広がっています。

1990年代以降 : ブランド力の低下

フェローの娘キキ(Kiki)は1996年にフェローと一緒にオート・クチュールのコレクションに参加しました。

1999年9月にオランダのセコン社はフェローを買収しました。フェローはアルツハイマー病との深刻な戦いの末、同1999年12月に79歳で亡くなりました。

2000年にイヴァン・ミスペラーレがアート・ディレクターとしてグループに参加。同2000年7月にパリの「Muséedes Monuments Français」で初めてオート・クチュールのコレクションを開催しました。

2002年、ドイツのエスカーダ社(Escada)がフェローの株式の90%を取得しイヴァン・ミスペラーレは退社しました。

その年の後半にフェロー社は女性用既製服とライセンス・ビジネスに集中することを決議し、ジャン・ポール・ノット(Jean-Paul Knott)をクリエイティブ・ディレクターに迎えます。

2003年にジャン・ポール・ノットはフェロー社を去り、同2003年7月に世界中の旗艦店がパリのサントノレ通りにオープンしました。

作風

コケティッシュでセックス・アピールの強いデザインをしました。

1950年代末は絵画趣味を土台にした民族芸術からのインスピレーション。これを受けた独特なディテールを特徴とします。

1960年にプレタ・ポルテに進出してからはスポーツ好きが興じてスポーツウェアを発表。ゴージャス感をさり気なく出して洗練されたエレガンスをもつと言われ、ニューヨークでも人気を博しました。

珍しい出演方法 : 彼女について私が知っている二、三の事柄

冒頭で述べたようにルイ・フェローは1960年代にヌーベル・バーグのデザイナーといわれました。

ジャン・リュック・ゴダール監督の映画「彼女について私が知っている二、三の事柄」(1967年)にフェローが引用されます。

女優マリナ・ブラディが演じる団地妻ジュリエット・ジャンソンが「エクスプレス」誌をめくって声を出して記事を読む場面です。

えーっと、「ルイ・フェローのデザインになる、タイツをそめただけの見せかけのストッキングで私の足を包むことしかあなたは望まない。それはだらしない衣服を見栄えのあるものにし、貧弱なふくらはぎをもおどけた、魅力的なものにする…(本多隆一採録<フランスユニオン社>「映画芸術」1969年1月号、104頁)

この脚本の採録は堅い訳ですので別訳を紹介します。

フランス映画の第一人者の山田宏一訳(発売元はIMAGICA、販売元はハピネット・ピクチャーズ)。

「ルイ・フェローのストッキングに重ねて―
すかしの ハイソックスをはくと―
どんな服でも映える
細くて若い脚の人なら―
いっそう魅力的になる」

検証 : ルイ・フェローのストッキング

ここで両方の台詞からハタと気づくのは、1967年当時にルイ・フェローがストッキングを設計または販売していたのかどうかです。

フランス語ができないので何とも言い難いのですが、ルイ・フェローとストッキングを合わせて検索しても1件しか引っ掛かりません…。そのページが次です。

このページはヴィンテージのファッション、広告その他のコレクションを印刷する商業ページです。

このページの商品はストッキングで「Privilège (Stockings) 1960 Charles Jourdan, Louis Féraud」と題され、「Couturiers」には「Privilège [Hosiery, Stockings], Louis Féraud」と記されています。

プリヴィレッジ社のストッキングが中心商品で、このイラストの靴がチャールズ・ジョーダン、衣装がルイ・フェローだと考えられます。

次の課題

というわけで舌っ足らずな〆になりますが、先に引用した2種類の台詞の当否。これを確定していくのが私の課題です。

本多隆一の採録した台詞ではルイ・フェローのデザインしたタイツはストッキングと同義(同一アイテム)です。

これに対して山田宏一訳はストッキングの上にハイソックスを穿くのですから別物(別アイテム)です。

そして後者のような重ね穿きは1960年代末に存在したとは思えません…。

映画『彼女について私が知っている二、三の事柄』のフランス語はどういう風に話されているのでしょうか。どなたか御教示頂ければ幸いです。

関連リンク

  • Louis Feraud : ルイ・フェローの公式サイト。
  • Louis Feraud, 1970 | Janus : 1970年の雑誌に掲載されたルイ・フェローの衣服(雑誌名不詳)、カラーが3点、白黒が2点。モデルたちの笑顔と服の配色・ゆったりしたデザインがマッチして可愛い。5点ともパー・スプーク(Per Spook)のデザインです。2枚目の写真にある「goumba léger」は生地メーカーのスタロン社の生地ブランドか…。この記事ではカルダンクレージュラバンヌの3名を挙げ、フェローと配色コントラストが似ていると指摘。デザインも含めて時代と地域的に同じなので共通性は大きいですね。
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この記事を書いた人
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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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コメント

  1. 岡島空山 より:

    『現代用語の基礎知識』の1968年から1970年頃の「美容・服飾用語の解説」に見えます。
    70年版には下記のようにあります。
    “ ルイ・フェロー・ストッキング「Louis Feraud stocking)ルイ・フェロー作の模様編み靴下、あるいはプリント模様の靴下。横段じまで、ラグビーと名づけられる。「ミニ・スカート・プラス・ストッキングで一つの服が完成する」という考えのもとにデザインされた。”

    • もでもで より:

      岡島空山様。はじめまして。『現代用語の基礎知識』に記されているんですね。美容・服飾までカバーしているとは思っても見ませんでした。一度手にとって本格的に調べてみます。ご指摘いただいてハタと気づきました、「Louis Feraud stocking」の文字列をもっと深く検索すべきでした。次のページを探すことができました。Bas stockings nylon mousse vintage 80 STEMM Taille 2 FR40/42 UK9 US38/40 | eBay。このページの上部の小さい方の商品紹介によりますと「ビンテージ80 気泡ゴム付き ルイ・フェロー・ナイロン・ストッキング」と読めそうです。服とストッキングと靴のセットになった広告では、ルイ・フェローは全くといっていいほど服のデザインを担当したという広告ばかりでした。しかし上記ページはストッキング単体の宣伝文句ですから、岡島様のご指摘いただいたことを画像でも確認できました。どうもありがとうございました。HATENAの方にたまに寄らせて頂きます。

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