マネキン 美しい人体の物語:改めて考えさせられました

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マネキン 美しい人体の物語

マネキン 美しい人体の物語:七彩工芸(現・七彩)で長年にわたりマネキン制作に従事してきた著者が、マネキン制作という仕事を振り返った本です。日本のマネキンの通史もあり、海外のマネキン事情もあり、写真が豊富です。ファッション・デザイナーや芸術家たちとマネキンとの関わりも随所で挿入され、マネキンからみたモード史という風にも読めます(三宅一生や岡本太郎など)。

マネキン 美しい人体の物語


欠田誠『マネキン―美しい人体の物語―』晶文社、2002年
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目次

  1. スポーツマネキン誕生記
  2. 人体を表現するということ
  3. 日本のマネキンの歩み
  4. 私は企業内作家である
  5. 人間をまるごと型取りする
  6. 二人の巨匠―村井次郎とジャン=ピエール・ダルナ

マネキンについて

マネキンはよく見慣れたものですが、言われ見ないと気づかない点が多く、本書は色々と刺激を与えてくれました。たとえば、マネキンにも色々と種類があり、本書の冒頭で語られているのはアスリートたちの肉体を表現したスポーツマネキンです。また、マネキンには服を着せるだけでなくメイクも必要だという指摘は鋭く、驚きました。たかがマネキン、されどマネキンです。
現在、美術学校ではディスプレイの勉強としてマネキンの使い方を学ぶことはあっても、マネキンの制作(マネキンの造型)を学ぶことはほとんどないといいます。著者は、自分の仕事を振り返り、作品の制作のプロセスや背景を見つめ直して、モードの世界で生きるマネキンの魅力が時代とともにどのように変化してきたのかを振り返っています。
次の写真は、著者の勤務した七彩工芸(現・七彩)のマネキンです。この写真から好きなタイプを探そうとするのは、私だけでしょうか?


この本を読んでいると、マネキンとは彫刻と人体とを行ったり来たりしていることが分かります。彫刻からみると、最も人間に近いのがマネキンですが、人間や人体からみると、限りなく近づいているだけの物だともいえます。モードやファッションやアパレルを考える時にマネキンは忘れやすいけど、必ず目にしているということを痛感しました。著者の言葉を借りていえば、マネキンの造形とは「アートとデザインの世界を行ったり来たりする」(205頁)点もマネキンの特徴です。その点で第6章内の「ジャン=ピエール・ダルナさんの思い出」以降、日本初のポリエステル樹脂製マネキン(FFシリーズ、またはダルナ・マネキン)が実現するまでの過程が非常に躍動感に満ちていて楽しく読めました。
バブル経済が崩壊しても一向に埒が明かない日本経済を憂いながらも、著者は、商品の新しい見せ方や売り方を考える手立てとしてマネキンを重視します。「今こそマネキン企業はその要請に応える使命がある」(206頁)、アパレル業界では「マネキンによるビジュアル・プレゼンテーションの力が新たに注目されている」(同)というように、アパレル業界の活性化にマネキンの表現力を持ってくる所がユニークです。
最後に、著者の勤務した七彩工芸(現・七彩)に関するマネキン情報を記しておきます。

大阪にあるマネキンミュージアム「NANASAI ARCHIVES “彩 sai”(七彩アーカイブス “彩 さい”)。七彩の軌跡をたどり、現存する日本最古のマネキンから、年代単位でのマネキン、オブジェ、資料などを展示。 via 七彩アーカイブス“彩” |株式会社 七彩

関連リンク

欠田誠『マネキン―美しい人体の物語―』晶文社、2002年
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English Summery

There is also a history of Japanese mannequins, there are circumstances of overseas mannequins, and there are plenty of pictures. The relationship between fashion designers and artists and mannequins was inserted everywhere, and can be read in the mode history as seen from the mannequin (Mr. Issei Miyake, Taro Okamoto etc).
Although the mannequin is familiar well, there are many points that I do not notice without being told, this book gave me various stimuli. For example, there are various kinds of mannequins, what is told at the beginning of this book is a sports mannequin that expresses the flesh of athletes. Also, I was surprised that the mannequin not only wears clothes but also makeup is necessary. Takaka is a mannequin, but it is a mannequin.
As you read this book, you can see that mannequins are back and forth between sculpture and the human body. From the viewpoint of sculpture, mannequins are the closest to human beings, but from the viewpoint of humans and the human body, it can be said that they are just things that are approaching as closely as possible. When thinking about modes, fashion and apparel, the mannequin was easy to forget, but I was keenly aware that I always saw it.

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この記事を書いた人

いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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