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律令制下の徴税体制における繊維品(調布・庸布)の考え方

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律令制下の徴税体制における繊維品(調布・庸布)の考え方

繊維・アパレル関係の授業において、授業で私は、租庸調の税制のうち、庸・調に関しては布(織物)が主に課せられたと強調しています。
しかし、その位置づけが分かりにくいため、こちらで文章にして、庸布・調布の意味をはっきりさせておきます。
念頭に置くパワー・ポイントは、大学・科目に寄りますが「jeh02.pptx」または「jh02.pptx」、これらのスライド3枚目です(2017年5月14日現在)。

現在では「天然繊維」と呼ばれる当時の繊維は「繊維の考え方と種類 : 天然繊維と化学繊維」をご参照ください。
また、繊維から衣服になるまでの長い過程は「服ができるまで:繊維調達からミシン縫製までの道のり」をご覧ください。
律令制の中央官制・地方官制の図は外部リンク「律令制(りつりょうせい)とは – コトバンク」内「デジタル大辞泉の解説」にある図をご参照ください。

さて、該当箇所で私は次のように記しています。

調布・庸布の私の説明

A) 租庸調 (中国経済史では?)

  • 租:米
  • 庸:織物(麻・苧・葛製)、塩、米
  • 調:織物(絹製・麻製)、代替特産品、貨幣

(中略)
C) 庸布・調布の材料繊維は?

庸布・調布の材料繊維をCで誘導していますが、これの基本は主要布に絹織物、副主要布に麻織物が該当すると説明しました。
それを受け、このような主要・副主要をAに当てはめた場合、庸布と調布のいずれも、主要布が絹で、副主要布が麻なのかどうかについて履修生から質問がありました。

調布・庸布の高校日本史の説明

私が上記の要約を作成する際に依拠したのは、おおむね、五味文彦他編『詳説 日本史研究』山川出版社、1998年、69・70頁、班田収授法の説明の箇所です。
これに限らず、高校日本史の教科書や大学日本経済史の教科書では、慣習的に租庸調という略語を使う割には(同上書では明記されていませんが)、非常に複雑な説明があり、区分基準が不明瞭だという限界があります。
具体的に見てみましょう。
まず、

律令国家の租税は、大別すると、土地生産物のうちの穀物を徴収する系列(・公出挙・義倉など)、繊維製品・手工業製品・穀物以外の生産物を徴収する系列(調・贄など)、公民の身役労働を徴収する系列(雑など)の3種があった。(同上書、69頁)

1つ目の租の説明は良いとして、2つ目の「繊維製品・手工業製品・穀物以外の生産物を徴収する系列」は非常に分かりにくいというか、記す順番が間違っています。
次のように記すべきです。
《穀物以外の生産物、つまり手工業製品、中でも特に繊維製品を徴収する系列》です。
「手工業製品」において、食料品、塩、紙、繊維製品などが含まれ、最も徴税量が多かった部類に入るであろう繊維製品が最後に持ってくると、非常に分かりやすい説明になると思います。
そもそも「租」は「土地生産物のうちの穀物」ですから、庸・調の説明には《土地生産物のうちの穀物》を強調する必要があります。
次いで、租庸調を一つずつ説明した箇所を見ていきましょう。
全て、同上書69頁・70頁です。

  • 租 : 初穂儀礼の起源、賦課対象者、賦課の対収穫比率が述べられているだけで、対象品目は「稲」と記されているだけです(69頁)。
  • 調 : 服属儀礼の起源(ミツギ)が述べられ、賦課対象者の列挙が続き(正丁、中男…)、品目は少し具体的に記されてます。つまり、「繊維製品をはじめ、染料や塩・紙・食料品など」です。
  • 庸 : この説明は下手くそで、「(前略)都にのぼって政府の命じる労役(歳役)の代納物として」というように「労役(歳役)」が突然出てくるのに、直後に「代納物」(布・綿・米・塩など)の説明が続くため、労役(歳役)が一体どの税区分に属するのかが分かりません。

調布 : 調にある「繊維製品」とは何ですか?

少しさかのぼって「調」の説明にある「繊維製品をはじめ」の「繊維製品」とは何ですか?
現在の意味では、繊維製品とは繊維1次製品と繊維2次製品に区別され、前者は糸・布(織物など)を指し、後者は基本的に衣料品・雑貨類を指します。
古代徴税体制では後者が徴税対象とはならなかったので前者のみを指すとは分かりますが、「調」のいう「繊維製品」が糸と布のどちらを指すのか、あるいは両方を指すのかが見えません。
とりあえず、「繊維製品」は布・糸・繊維から成り立ち、このうち、布は織物が中心で、編物は技術的に厳しく、厚い皮革は不要だったと考えられます。または少量ですが、糸や繊維もありました。

庸布 : 庸にある「布・綿」とは何ですか?

庸の説明は特にいい加減です。
「労役(歳役)」の位置づけが不明瞭なだけでなく「代納物」の説明も怪しい。
「布・綿・米・塩などを収めるもの」とありますが、「米・塩」は分かりやすいとして(それでも租の「稲」との区別が私にはピンと来ませんが、置いておく)、「布・綿」とは何ですか?
まず、布は織物が中心、そして「綿」とは糸の塊・繊維の塊(つまりワタ)のことで、cotton 系列の繊維製品(棉花、綿糸、綿織物)ではありません。

調布・庸布の考え方

そして、調の説明にも庸の説明にも、肝心の庸布・調布の繊維は何であったのかに関する説明がありません。
このページ冒頭(私の作成したプリントの一部)に戻りますが、庸布に織物(麻・苧・葛製)と記し、調布に織物(絹製・麻製)と記しています。この説明も不明瞭です。
そこで、次のように考えて整理することを提案致します。
まず、中国経済史を参照して、租庸調を穀物・労役・布の3種に対応させます(順番に注意して下さい)。
つまり、租=穀物、庸=労役、調=布です。日本の教科書では租庸調の順番すら中国に反抗したいのか、租調庸と記す場合も多く、それに釣られて私も混乱して説明することが多くあります。それはともかく次のように対応させる訳です。

  • 租 : 穀物
  • 庸 : 労役
  • 調 : 布(織物)

その上で、『詳説 日本史研究』の説明を重ねて、徴税対象品を整理すると次のようになります。

  • 租 : 穀物 ⇒初穂儀礼をルーツに稲か米。
  • 庸 : 労役 ⇒労役(歳役)。不可能な場合は、織物(麻・苧・葛など)を主とする繊維製品か、染料や塩・紙・食料品など。
  • 調 : 布(織物) ⇒服属儀礼(ミツギ)をルーツに織物・糸・繊維(絹・麻)。不可能な場合は、米・塩など。

なお、庸布は労役の代わりですから、主要織物の絹織物は指定されず、派生的な物、換言すれば地域内で生産可能な織物であった訳です。
そのため、麻・苧・葛など多様な物に広がっていきます。
これに対し、調布は服属儀礼(ミツギ)を軸として税制となった訳ですから、主要織物の絹織物、または副主要織物の麻織物が予め指定されていたといえます。

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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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