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セットイン・スリーブ:袖つけの基本形で接袖・定型袖・付設袖とも

ファッション用語集
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セットイン・スリーブ

セットイン・スリーブ(set-in sleeve)とは袖つけの基本形で普通袖のこと。肩から脇にかけて縫った場合の袖、または袖つけ作業をさします。縫い目はほぼ垂直になっています。英語でset-in sleeve(定型袖)、attached sleeve(付設袖)。

アームホールと密接に関連

辞書類では「正常なアーム・ホールに設置」という風に説明されることが多く、アーム・ホール(アームホール/arm hole)とは身頃(胴体)にある腕を通す穴のことを意味します。セットイン・スリーブでは衣服の肩と腕の境目に縦のラインが入っています(下図参照)。

セットイン・スリーブ

セットイン・スリーブ(接袖)の旗袍 ©mode21.com

アームホールの形

アームホールをトルソー(ボディ)の横からみるとオニギリのような形になっています。パターンを引く時にも綺麗なおにぎり型を作ると設計や裁縫が上手くいくといわれます。

アームホールはトルソー(ボディ)の横からみるとオニギリのような形になっています。

アームホール ©mode21.com

スリーブ(袖)の種類 : 現代旗袍と現代アオザイの違い

また、スリーブを意味する言葉に、身頃の布を袖にも用いるドルマン・スリーブや、襟元から脇へ縫い合わすラグラン・スリーブがあります。前者は肩と袖の間に縫い目がなく、後者は斜めに縫い目が生じています。
現代旗袍と現代アオザイを比べると、襟とタイトなラインが似ている一方で、スリーブが決定的に異なります(現状では)。現代の旗袍は多くがセットイン・スリーブで、アオザイはラグラン・スリーブ(raglan Sleeve)です。前者の場合、肩のラインは水平に近いため肩幅の広い人に似合い、後者の場合、肩のラインが斜め下へ落ちるため、肩幅の狭い人に似合います。

ラグラン・スリーブ(raglan Sleeve)のアオザイ

ラグラン・スリーブ(raglan Sleeve)のアオザイ (c) アトリエ・レイレイ(atelier leilei)

セットイン・スリーブの種類

パフ・スリーブ : puff sleeve

パフ・スリーブ : puff sleeve とは、袖口や袖山にギャザーを寄せて中間を膨らませた袖の総称。袖口をカフスで留める場合が多い。袖口や袖山に少しでもギャザーが確認されればパフ・スリーブと見なせます。
パフ(puff)は膨らませるの意味で、正式名称はパフト・スリーブ(puffed sleeve)。バブル・スリーブ(bubble sleeve)と同義。セットイン・スリーブの一種です。子供服によく見られます。

パフ・スリーブの種類

真中が最も膨らんだものは特にランタン・スリーブ(提灯袖、lanern sleeve)といい、提灯や珠算玉のようになっています。
パフ・スリーブのうち、丈が肩から肘くらいかけて膨らんだ袖(中袖)はバルーン・スリーブ(風船袖、balloon sleeve)、またはメロン・スリーブ(メロン袖、melon sleeve)という場合もあります。
長袖の場合はマトン・スリーブ(mutton sleeve)が代表的(後述)。羊の脚のようにみえるのが名前の理由。なお、ビショップ・スリーブ(bishop sleeve)は、袖の膨らみが肘から袖口までに取られており、マトン・スリーブと対照的なもので、パフ・スリーブには含めません。

パフ・スリーブの出現期と変化

パフ・スリーブが登場したのはルネサンス期といわれ、17世紀(バロック時代)にはパフを幾重にも重ねた袖が現れました。
その後、19世紀にパフ・スリーブは数度にわたり流行しました。1830年頃は半袖、世紀半ばと1890年代にはマトン・スリーブを伴ない、膨らみに変化が生じました。20世紀は1930年代に流行しました。

パフ・スリーブ : スリーブ・サポート Sleeve supports

パフ・スリーブ : スリーブ・サポート Sleeve supports via Sleeve supports | British | The Met

上の写真はパフ・スリーブが身体を留める支持体として機能していたことを示しています。この袖はアンダー・ピニング(基礎増強)に用いられたり、袖自体の構造に組み込まれたりしました。
スリーブという支持体はしばしば下向き枕になりましたが、ワイヤーやステッキで作られた肋骨を有するチンツは、さらに膨らみの大きいランタン・スリーブの形状になります。
このようなサポートがドレスに縫い付けられない場合は、スリーブ支持体は、コルセットの肩ひもにタイで取り付けられました。 1830年代には、これらのストラップは身体から45度以上の角度で配向されました。
このようなスリーブの塊は印象的ですが、パフ・スリーブの初期形態は肩のラインを崩さない程度しか膨張していませんでした。その代わり、パフ・スリーブは上腕部分に不安定に姿勢が取られていたため、袖の輪郭が単純に肩から降りるラインで続いていたわけです。
1890年代には、巨大な膨らんだパフ・スリーブが流行し、今でも見かける新しく肩の上に覆い被さった状態になりました。

ランタン・スリーブ : lantern sleeve

 ランタン・スリーブ lantern sleeve とは、パフ・スリーブの一種で、その中でも提灯のように大きく膨らんだ袖のことです。提灯袖ともいいます。

真ん中が一番広く膨らんでいるため珠算玉にも見えます。スリーブの形態はセットイン・スリーブ。作るときは横の切替を入れたり、ギャザーやダーツで丸みをもたせます。袖の一番下は細いカフスで留め、これには比較的張りのある布を用います。

最近では短い袖だけでなく、長袖の裾部分が提灯状になっているものもランタン・スリーブと呼ぶことが増えています。

マトン・スリーブ : mutton sleeve

マトン・スリーブ mutton sleeve とは、スリーブの基本形の一つで、上部が大きく膨らみ、次第に細くなり肘あたりから袖口までぴったりする長袖のこと。後述のように正式名称はレッグ・オブ・マトン・スリーブ。スリーブの上部の膨らみは袖山でギャザーやタックを取ることで作ります。
パフ・スリーブも、レッグ・オブ・マトン・スリーブも、セットイン・スリーブに基づき、また、袖山は同じ形状ですが、前者が半袖であり後者が長袖である点が異なります。

マトン・スリーブを用いたドレス

マトン・スリーブを用いたドレス via Dress | American | The Met

マトン・スリーブの語源と歴史

名称の由来は羊の脚(leg of mutton)に似ていることから。したがって正式名称は、レッグ・オブ・マトン・スリーブ。フランス語では、マンシュ・ア・ジゴ(manche à gigot)、略してジゴ。これをヒントに英語ではジゴ・スリーブとも言います。
レッグ・オブ・マトン・スリーブは中世に出現したといわれています。
その後、17世紀、及び19世紀中後期のヨーロッパで広く見られました。この時期には高い立襟、細いウェスト、そしてレッグ・オブ・マトン・スリーブという組み合わせのブラウスが大人気でした。近年ではウェディング・ドレスをはじめ、コスチューム・プレイ(コスプレ)用のメイド服などにも多用されています。

ビショップ・スリーブ : bishop sleeve

ビショップ・スリーブ bishop sleeve とは、スリーブの形状の一つで、肩から肘あたりを緊縮ぎみにさせ、肘から腕先(袖口)に膨らみをもたせた長袖のことです。子供服、またはブラウス、ドレスに多用されるほか、七分袖くらいの長さでスーツに用いられることもあります。

近年ではコスプレイヤーたちに人気があります。ビショップ・スリーブの基本形はセットイン・スリーブ。袖口にギャザーを寄せてバンドやカフスで留めたものと、切りっ放しにしたものの二種に大別されます。

ビショップ・スリーブを用いたドレス bishop sleeve

ビショップ・スリーブを用いたドレス bishop sleeve via Dress | American | The Met

ビショップ・スリーブの種類と語源

ビショップ・スリーブは、肘から袖口がパフ・スリーブであっても、肩あたり(袖山)が盛り上がらず下降気味になっているものが多く、ドロップド・ショルダー・スリーブ(dropped shoulder sleeve)の一種ともいえます。
このような、ビショップ・スリーブのうち、ドロップド・ショルダー・スリーブになったものは、特にペザント・スリーブ(農婦袖/peasant sleeve)、またはブラウス・スリーブ(blouse sleeve)と呼ばれます。ヨーロッパの農民服のブラウスによく見られたことに由来します。
最近では長袖のランタン・スリーブともいわれることがあります。ビショップ・スリーブの語源はカソリック・アグリカン派(英国国教会)のビショップ(司教・主教)の僧服から。フランス語でマンシュ・エベック。

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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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