本書はシャネルを描いた伝記で、彼女が着やすく軽快でシンプルな服を作ったのは女性たちの身体だけでなく心までも解放したという観点に立っています。
そして、シャネルの人生を知ることで、ファッション・デザイナーがダイナミックで創造的な活動をしている点を分かりやすく説明しています。
本書のメリット
シャネルの伝記を中心に参考文献が巻末にまとめられています。また「ファッションデザイナーになりたいあなたへ」という項目が設けられ、ファッション・デザイナーの仕事の現状、なるための方法、女性の仕事として置き換えた場合、等々が述べられているので、女性としてデザイナーになることを考えさせてくれます。
このような配慮から、伝記の内容はシャネルの服や香水がどのように人々を楽しませたのかという点が中心になっています。これまでの詳しい伝記のような「俺、シャネルを直接知ってるで」という圧力は有りません。まさに読みやすくてファッション史におけるシャネルの貢献がとてもよく分かります。デザイナーとは言わないまでも、働きながらファッションを楽しむ女性の方々には特にお勧めの本です。
目次
第1章 誇りたかい孤児(父に捨てられた子、「反逆児」ココ、新天地を求めて)、第2章 モードにおこした革命(生涯の恋人との出会い、ジャージー革命、自分が着たい服をつくる、悲しみと孤独のはて)、第3章 パリに君臨する(ミシア,最愛の友で最大のライバル、芸術家たちのパトロンとして、新しい時代の香り,シャネルの5番、黒を着る)、第4章 世界進出(大富豪ウェストミンスター公爵との恋、マリンルックと英国ファッション、夢の宝石,ビジュー・ファンテジー、アメリカ,ハリウッドへ)、第5章 不死鳥のように(強引な閉店,そして戦争、復活はシャネル・スーツから、シャネルのファッション哲学、永遠のココ・シャネル)、参考文献、ココ・シャネル プロフィール、ファッションデザイナーになりたいあなたへ
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実川元子「ファッションデザイナー : ココ・シャネル」理論社 2000
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