このページは衣料品に使われる化学繊維をリストアップしています。化学繊維は大まかに天然繊維に対する言葉と考えてOKです。
ただし、人造絹糸や綿系ステープル・ファイバーは含みません(含んでいる、と誤解されやすい)。「繊維 : その種類と考え方― 天然繊維と化学繊維―」も合わせてご参照ください。
アクリル : acrylic
羊毛に似た性質をもつ合成繊維。軽く柔らかく、湿感があり、染色しやすい。毛布や冬物セーターに多く使われます。羊毛より比重が小さく吸水性が低く洗濯の乾きは速いです。
ナイロン、ポリエステルに次ぐ強度。繊維にはステープルやトウが多いです。実用的なアクリル繊維は1950年の米国デュポン社「オーロン」が初めてです。
アセテート : acetate
酢酸繊維素とセルロース繊維素から構成される半合成繊維。特徴は絹のような光沢と感触をもち、強度が低いです。
商標には三菱レイヨン「リンダ」、帝人「テイジンアセート」など。リンター・パルプか木材パルプを主原料に、酢酸を化学結合してつくります。
セルロースに結合した酢酸の割合(酢化度)が45%以上の繊維をアセテート、59.5%以上のものをトリアテセートといいます。この対比上、アセテートはジアセテートやダイアセテートという正式呼称をもちます。
スパンデックス:spandex
ポリウレタンを80%以上含む長鎖状高分子合成物で作られた人造繊維。かなり優秀です。
特徴
- 高度のストレッチ性:天然ゴムよりもよく伸び、5倍以上伸ばしても切れません。
- 弛みが少ない:もとの形態にもどる性質が非常にすぐれているので、何回伸ばしてみても、その射影長にほとんど変化がありません。
- 耐久性がある:その引張り強力は良質のゴム糸よりもかなり高い圧力や引張りに対する抵抗力は、ゴムや合成物質よりも勝ります。酸化による退化にも抵抗力があります。
- 洗濯が簡単:ドライ・ クリーニングと水洗の両方に対して十分長持ちします。機械による洗濯乾燥もできます。
- 均斉度が優れている:人間の毛髪と同じくらい細く押し出しても良好な均斉度をもちます。
- 融通性がある:裸糸としても被覆した糸としても使用できます。
- 比重が低く1.0〜1.1でゴムより軽く、綿の1.54、羊毛アセテートの1.32、ナイロンの1.14にくらべても軽い。
- 染色性などに優れます。色の染料によく染まり美しい発色性が得られます。
- 最も細いゴム糸はゴムゲージで125ゲージ程度のもの。繊維の250デニールに相当しますが、スパンデックスは、マルチ70デニールというくらい、ゴム糸と比較にならないほど細くできます。
用途
ゴム糸の分野からはじまり、ブラジャー、ガードル、コルセット、および海水着に用いられ、さらに靴下、ソックスのゴム編み部分、スキー用パンツ、トレアドール型パンツ、ゴルフ用ジャケット、フットボール用パンツ、医療用品、包帯、サポーター、テクスチャード・ヤーンなどに拡張されてきました。
トリアセテート:Triacetate
トリアセテートは半合成繊維の一つで、セルローズ系の3酢酸繊維素繊維(Cellulose triacetate fiber)のこと。
概要
普通のアセテートのように、セルローズ分子を構成しているブドウ糖残基の置換可能な3個の水酸基のうち、平均2個、4個が酢酸基となっていて、一般にジアセテート(Diacetate)(2酢酸繊維素)といわれているものとはちがい、ブドウ糖残基の3個の水酸基が全部酢酸基によって置換されたものです。
メチレン・クロライドを溶剤として乾式紡糸法によって製造されます。
特徴
トリアセテート織物はアセテートよりも高熱に耐えます。
たとえば、熱処理されたものは250℃までのアイロン掛けに耐え、熱可塑性は出ません。
用途は一般衣服地で、他繊維と混紡ができ、工業用としては電線被覆などに用いられます。
商品名
商品名には
- アメリカンセラニーズ社のアーネル(Arnel):アーネル・トリアセテート
- イギリス・コートールズ社のコープレタ(Courpleta)
- イギリスのブリテッシュ・セラニーズ社のトリアフィル(Triafil)、トリセル(Tricel)
- フランスのソシエテ・ローディアセタ社のトリアルペン(Trialbene)
- カナダのカナダ・セラニーズ社のトリラン(Trilan)
など。
ナイロン : nylon
ポリアミド系繊維のこと。合成繊維のなかで最も強い部類に入り、とくに摩擦強度がずば抜けて高いです。染色性にも富みますが、熱に弱く黄変することがあります。
現在、ナイロン66、ナイロン6、ナイロン11が広く普及している。強度、柔軟性、堅さ、弾性、摩耗度、洗濯可能性、対乾燥・カビ・虫抵抗力などが異なります。1936年に米国デュポン社のW.H.カローザス博士が開発し、翌1937年頃から製造販売。工業製品として世界で初めて製造販売された合成繊維。ナイロンの詳細はナイロン・ストッキングを参照。
ポリエステル : polyester
エステル結合系繊維のこと。高強力、低吸湿性、熱可塑性、耐薬品性などが長所で、耐熱性と弾性が特に高い。軽くて皺が寄りにくく、濡れても早く乾くのでウォッシュ・アンド・ウェア性が高い。エステル結合を有する重合物を原料とした繊維で、ポリエチレン・テレフタレート繊維の略称。1941年に英国のJ.R.WhinfieldとJ.T.Dickがテレフタル酸とエチレングリマルとの縮合重合体としてテリレンの特許を取得したのがはじまり。
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