この記事ではアンドレ・クレージュのゴーゴー・ブーツを紹介しています。
クレージュは女性の普段着・日常着分野で「パリ・オートクチュール界のコルビュジエ」の異名をもち、偉大なスペインのデザイナー、クリストバル・バレンシアガの下で技師として裁断師として訓練しました。
彼の1964年春コレクションは彼の背景の両面を描いています。コレクションでの注目はフレアな(揺れる)ミニドレスで、これには腰線にプラスチック製の船窓が付いていて、帽子類は円盤や宇宙ヘルメットのような形をしていました。
ゴーゴー・ブーツとアンドレ・クレージュ
しかし、アンドレ・クレージュがもっと革命的だったのは履物(靴)です。
彼の制作したゴーゴー・ブーツ(Go-go boots)は、踵が低く脹脛(ふくらはぎ)高さのブーツ。白のプラスチック製で、装飾は上部の近くにはっきりした切り抜き溝があるだけでした。
ファッション・ショーの細長いステージから踊り場へ直ぐに動けるので、ゴーゴー・ブーツは未来の宇宙時代のオートクチュールを意図し、パリのデザイナーたちの手作業で特徴づけられていたファッション業界の終わりを告げました。
ブーツは1960年代で最も売れた履物となり、様々な見た目や長さのものが登場しました。それらはミニと一緒に履かれ、新しく脚を見せて着飾る方法になりましたし、解放のシンボルとして多くの女性が穿いたパンツにも似合いました。かなり模造品が出回ったので、クレージュは1965年から自分の工房を閉めました。2年後に彼は事業を再開しましたが、後続のファッション・デザイナー(衣服設計師)たちは誰一人としてクレージュの小さな白色ブーツの成功に匹敵した者は現れませんでした。
出典https://mode21.com/shoes/
訳出を終えた感想ですが、クレージュは女性の衣装に活動性を与えようとしました。ゴーゴー・ブーツの運動性はその一つの表現です。
彼がスポーツウェアの開発にも注力したことや、中華圏の纏足や欧米圏のハイヒールを馬鹿げているものだと否定したことなどを思い出しました。この点は「ミニスカートの考案者:クワントかクレージュか…あるいは?」のクレージュの項目をご参照ください。
最後に「Augusta Auctions」というオークション・サイトから、この1964年発表の ゴーゴー・ブーツ の形状を訳しておきます。
白革、ふくらはぎ中央、黒の木製スタック・ヒール(0.5インチ)、ブーツ上部から少し下に切り出された紐を手前中央で結ぶ、金色のクレージュ・パリの刻印、後部はひらひらのヴェルクロ製ジッパー。
出典Augusta Auctions
なお、「木製スタック・ヒール」(stacked wood heel)とは木を数枚重ねて作った踵のことです。
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