The Swinging Sixties:An iconic decade in pictures

3.5
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本書は1960年代のスウィンギングというイギリスの文化現象をとらえた写真集です。

ミラーピクス(Mirrorpix)の膨大なアーカイブから厳選した330枚以上の写真が載っています。

1960年代イギリスの活気に満ちたファッション、音楽シーン、ライフスタイルについて、1ページあたり1点の写真を載せて簡潔なフレーズと説明を添えています。

その上ペーパーバックなので読みやすく見やすく、読み終えたときには1960年代の雰囲気に浸っています。

The Swinging Sixties:An iconic decade in pictures

「スウィンギング・シクスティーズ」とは1960年代にイギリスで展開されたファッションやカルチャーシーンの名称。

この中心は「スウィンギング・ロンドン」でした。

最新ファッションは、ロンドンのカーナビー・ストリートやキングス・ロードなどで販売されました。これらは流行の最先端をいったショッピングエリアでした。

私がイメージするスウィンギング・シクスティーズはミケランジェロ・アントニオーニ監督の映画『欲望』(1966)です。

1960年代のフランスもファッション最先端だったと思いますが、最近になって私はイギリスのファッションもなかなかカッコよかったんだなと感じてきました。イギリスへ留学した学生たちからヴィクトリア・アンド・アルバート博物館などの展示物を見せてもらったからです。

それにしても、当時のイギリスは1940年代のナショナリズムかと思うくらいテンションが高く、どうやら1966年のワールドカップでイングランドが優勝したことがきっかけのようです。

優勝を機にイギリスで愛国心が高まり、ユニオンフラッグがスウィンギングのいろんな場面を飾り立てていました。

映画『欲望』のモデルとなったカメラマンのデビッド・ベイリーをはじめ、多くの写真家たちは「1960年代の顔」といわれたジーン・シュリンプトンや、妖精のようなツィギーなど、セクシーなモデルの写真を撮りました。

1960年代イギリスの音楽界ではビートルズをはじめ、ザ・フー、キンクス、デイブ・クラーク・ファイブ、クリームなどが登場しました。この辺を思い出すと60年代イギリスはフランスより有名だったんだなと確信しますね。

若者を中心としたスウィンギングという文化現象は楽観主義と快楽主義の時代を示していて、新しいものやモダンなものが強調されました。他方、映画『欲望』のように都市公害や人生退廃の暗さを引きずっています。

この時代のファッションデザイナーたちは新素材やスタイルを試しました。

もっとも有名なファッションはフランスのアンドレ・クレージュとイギリスのマリー・クワントのミニスカートの発明です。

ミラーピクス(Mirrorpix)について

本書はミラーピクス(Mirrorpix)の膨大なアーカイブから、魅惑的でユーモアがありとても風変わりな350点の写真を選び、音楽、ファッション、ライフスタイルの表情を変えた象徴的な1960年代を取り上げたものです。

ミラーピクス・アーカイブはトリニティ・ミラー社の刊行していたミラー・グループ・ニューズレター(Mirror Group Newspapers)のアーカイブを集めたものです。

これには、デイリー・ミラー誌(Daily Mirror)、サンデー・ミラー誌(Sunday Mirror)、ピープル誌(People)、デイリー・レコード誌(Daily Record)、デイリー・ヘラルド誌(Daily Herald)のアーカイブも含まれています。

ミラーピクスは、1世紀以上にわたり英国および世界の歴史にまたがり、鮮やかでユニークなアーカイブ、それに現代のイメージやイラストレーションのコレクションに比類ないアクセスを提供してきました。ミラーピクスの公式サイトはこちらです。

公式サイトの写真説明は本書よりも簡単になっているので、その分、本書を手に入れる価値は高いと思いました。

表紙見開きの紹介文を訳出しておきます。

太陽のような楽観主義がスウィンギング・シクスティーズには浸透しており、すべてが「ファブ」で「グルーヴィー」でした。 戦後の緊縮財政の後、消費主義が花開き、余暇を楽しむことができました。 避妊薬の登場により、この時代はまさに「寛容な」10年であったといえるでしょう。 スウィンギング・ロンドン」は、若者を中心としたこの文化現象の中心地であり、ファッション、アート、エンターテイメントの各業界では、新しいアイデア、新しいサウンド、大胆な新しいルックスがあふれていました。ビート世代の洗練されただらしなさと、モッズのキレのあるスマートさ、ヒッピーの浮世離れした自堕落さが共存し、スウィンギング・シクスティーズのあらゆるものがアイコンとなっていました。THE SWINGING SIXTIES」は、音楽、ファッション、ライフスタイルのあり方を変えた象徴的な10年間を、Mirrorpixの膨大なアーカイブから集めた、魅力的でユーモラス、そして風変わりな約350枚の写真で紹介します。Mirrorpix ed., The Swinging Sixties : An iconic decade in pictures, Ammonite Press, 2012.

感想

この紹介文を読んだとき1960年代が明るさと暗さを併せもっていたことを知りました。

ミラーピクスの画像データベースには白黒写真が多く、ときおりカラー写真もあります。この混ざり具合が1960年代のカルチャーそのものだと私は感じました。

もっと極端にいえば、私には退廃感や自堕落さが1960年代らしいと感じます。

ゴダールの映画『彼女について私が知ってるニ三の事柄』やアントニオーニの映画『欲望』などの映画から私は、1960年代を都市開発と精神崩壊をと並行してイメージします。

とても楽しい世界ととても暗い心が混じったアンバランスさが1960年代らしさだと思います。

そういう点では何ページかにあったプラスチックを使った服を着た女性のあの何ともいえない退廃的な顔つきが私には印象的でした。

スウィンギング・シクスティーズのうち、スウィンギング・ロンドンのBIBAに特化したようなマニアックな本もあります。

長澤均『BIBA スウィンギン・ロンドン1965-1974』ブルースインターアクションズ、2006年

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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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