「バック・ダンサー イレブンプレイの衣装:星野源「恋」」で「星野 源 – 恋 MUSIC VIDEO」は「1950年代アメリカ合衆国の都市部女性たちをイメージしたもの」かと判断しました。
残る課題としては、メリージェーンのハイヒール・シューズが当時のアメリカで一定に広がっていたかどうか。
また、イレブンプレイのダンサー4名の衣装にみる技術的な話にも触れたい。
このような話をこちらではしています。
最初の9秒を手掛かりに!
4名のバック・ダンサーの衣装がPVで一番大きく写されて分かりやすいのは冒頭の9秒までです。
その辺りの写真を1人1枚ずつ示し、気づいた点を述べます。
脇坂江梨沙さん
まずは脇坂江梨沙(Erisa Wakisaka)さん。
白色のブラウスに黄色のスカートの組み合わせです。
ブラウスをみます。
衿は折り衿で先端が三角形になっています。折り衿の長さからして、中将のカラー(Regular Point Collar)です。首元に黄色のリボン。
袖はノースリーブで、いわゆるjagged、縁がギザギザになったものです。袖無しといってもjagged付きの小さい袖を腕穴に縫いつけたと思われます。
これはツバが付いているという意味でキャップ・スリーブ(Cap Sleeve)とよばれるものです。
前身頃の向かって左側にもjagged付きの布が縫い込まれています(向かって右側にもついているかもしれません)。
ボタンははっきり見えませんが、おそらく付いていて、ファスナー止めでは無いはず。スカートは前の左右に2か所ほど確認できます。
沼田由花さん
次いで沼田由花(Yuka Numata)さん。
黄色のワンピース・ドレス。腰に切り込みがありますが、上衣と下衣は縫い付けられています。
上衣部分をみます。衿は白色の立領(Stand Collar)。袖はアーム・ホール部分が上がったハイ・スリーブ(High Sleeve)で、中袖を折った(ロール・アップした)白色部分とともに黄色と対照性を示します。
左右の乳房下方に1本ずつ胸ダーツが入っています。下衣部分にも左右1箇所ずつダーツが入っています。
上下にダーツが入っているので、まずまず絞った感じがします。緩いXラインです。
安川香さん
次いで安川香(Kaori Yasukawa)さん。
沼田由花さんと配色や上下の構成は同じで、袖はハイ・スリーブでロール・アップされているのもYukaさんと同じです。
部分がすこし違います。
まず、上衣の衿(カラー)。これは前半分にだけ衿が付けられたもので、襟無しともいえますが、前が強調されているという意味ではピューリタン・カラーかクェーカー・カラーといったところでしょうか。
つぎ、下衣部分は沼田由花さんと違ってダーツが入っていないのでHラインです。
篠原沙弥さん
最後に篠原沙弥(Saya Shinohara)さん。
衿と首元の黄色のリボン、白色ブラウスに、黄色のスカート。これらは脇坂江梨沙さんと同じです。
異なるのは、中袖を沼田由花さん、安川香さんと同じくロール・アップにしているところ。また、jaggedの装飾もありません。
あと、沼田由花さんと同じでハイ・スリーブですが、やや低めか。
下衣部分はタックが左右2か所ずつ入っているように見えますが、縫い目を確認できません。
衣装のまとめ:共通点と相違点
以上、イレブンプレイの4人のダンサーの衣装を細かく見てきました。
半袖にみられたように2~3人ずつの衣装部分を統一しながらも、他方で4人とも衣装構成を変えているのが面白いですね。短髪にパーマも3人だけという…。
イレブンプレイ の衣装、4人全員に共通する点は前編に詳しく記しました。
確認しますと、
といったところです。
スカート丈が膝辺りで素足に靴下という組み合わせが1950年代アメリカらしさの一つです。
ブラウスに付けたリボンも含めて『ローマの休日』のオードリー・ヘップバーンが一つのモデルかと思います。
ご参考までに、Youtbeから「Roman Holiday – trailer 1 (1953) AUDREY HEPBURN」を紹介します。
ちょうど1分辺りから、近しい衣装が出てきます。
レースの手袋というアイデアは別の所から引っ張ってきてるかも知れません。
マーブルブックス『オードリー・ヘプバーン パーフェクトスタイルオブオードリー』マーブルトロン、2012年
コメント