この記事ではガーターの意味や種類と歴史をまとめています。
ガーター(garter)とは靴下留めのことです。
爪先から大腿以上を覆う靴下(長靴下つまりストッキング)と併用されます。
形状は輪状とベルト状の2種に大別されます。
昔は膝下の靴下を留めることもありましたが、今ではスポーツで使われるくらいに減っていて、多くは大腿部までの靴下を留めます。
ガーターと靴下との関係
- ガーターを使って穿く靴下(ストッキング)をガーター・ストッキング、ガーターを使わずに穿く靴下はガーターレス・ストッキングといいます。
- ガーター・ストッキングは輪状またはベルト状のガーターと一緒に使うため、留める箇所は強く編まれています。たとえば、穿き口を二重編にしたり、脚部より太い糸で補強したりです。
- ガーターレス・ストッキングは、そのままではズレ落ちるため、穿き口にゴムを編み込んだものが一般的です。ゴム付きストッキングやガーターフリー・ストッキングなどとも呼ばれます。
2種類のガーター
輪状ガーター
輪状は、スポーツの時によく使うもので、ゴム布、ゴム輪、紐などを用いて脚へ直接に留めるものです。
男性が短靴下を留めるために脹脛(ふくらはぎ)のところに用いるベルトも輪状ガーターの一つですが、20世紀になってウーリーナイロン製(羊毛風ナイロン製)の靴下が出現してからはほとんど使われなくなりました。
輪型のガーターは16世紀欧州男性たちの一部が好んで用い、18世紀には欧州女性たちの一部も用い始めたといわれています。
ベルト状ガーター
ベルト状は、腰骨の周囲に着けたベルト(ガーター・ベルト)に留め具を付けて留めるものです。
素材には一部にフェルト製や厚目の布製もありますが、ゴムを織込んだゴム布などの伸縮性・弾力性の強いものが使われます。
これはガーターがガードルとは違い、体型を整えるものではなく、あくまでも靴下を吊るすだけのものだからです。
ベルト状のガーターは上から吊ってクリップ(ガーター・クリップ)で留めるサスペンダー式のことです。ガードルやコルセットに付けられたガーターも同じ原理です。
ベルト状ガーターが開発され普及したのは20世紀のことです。ベルト状ガーターと一緒に使われたのがガーター・ストッキングで、1960年代にパンティストッキングが普及してからは、あまり使われなくなりました。
ガーターの歴史
ガーターの使用は靴下の使用とともに始まりました。
11世紀・12世紀の絵に刺繍飾りのあるバンドをはめたものや靴下の端をクリップで吊ったものが見られます。前者は上流、後者は庶民階級のものらしくともに男性用でした。ガーターの名称は後者の留め具から出ました。
12世紀・13世紀には紐で結ぶ形式のものが現われました。
1344年ごろといわれるガーター勲章制定にまつわる挿話は伝説にすぎませんが、上流の婦人がガーターをはじめて使用したのは1550年ごろの書物に見られます。
しかし、長い間婦人は裾の長いローブを着ていたのでガーターは必要ではありませんでした。
靴下が普及した17世紀ころから絹のリボンを男女ともに用いました。
男性は19世紀になって長ズボンが生まれるにつれてホック留めのものを、次いでサスペンダーを使い始め、女性は19世紀の後半にベルトの前後に2個ずつの吊り金具を持つスリップ・オン・ガーター(slip on garter)を用いるようになりました。
それ以来、現在のような形のガーターが定着しました。
ガーターの種類と類義語
- ガーター・ソー・オンズ(garter sew-ons):サスペンダー式のガーター。コルセットやガードルに縫いつけられた(sew on)短い靴下留め。ガードルやコルセットの先端に前後左右4つの金具で靴下を吊ります。
- ガーター・ベルト(garter belt):靴下を吊るためにウェストに装着するベルト。このベルトで靴下留め(ガーター)を吊り下げます。ガードルなどのガーター・ソー・オンズの普及や、パンティストッキングの普及によって、1970年代頃から使われにくくなりました。
- ガーター・パンテイーズ:靴下留めパンテイーズのこと。最近のようにぴっちりしたタイツなどを穿く時に数種類もの下着を用いず、これ1枚だけで済ませるように作られています。弾力性のある(エラスティックな)布が用いられます。
外部リンク
- Wedding Garter History : ウェディング・ガーターのデザイナーがまとめた歴史。中世のガーター・ストッキングの伝統、1920年代のウェディング・ガーターの普及、1960年代に開発された弾力性のあるパンティストッキングが現代伝統として普及。
- Everything You Need To Know About The Wedding Garter : 輪状ガーターのあれこれ。ウェディング用の可愛いガーターをいくつか紹介。
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