夜の集まりに着るコートとドレス:ピエール・バルマン衣装
ここに紹介する2点の画像とリード文は「婦人画報」1967年12月号12頁・13頁に特集された「夜の集まりに着るコートとドレス」です。
当時既にベテランの域に達していたピエール・バルマンが衣装デザインをしています。
- デザイン:ピエール・バルマン
- カメラ:大倉舜二
- 協力:伊勢丹
特集リード文
白と金という、いちばんフォーマルな配色でつくられたカクテルアンサンブルです。普通のドレス丈ですが、マテリアルとデザインの格調の高さによって相当正式な集りにもお召しになれるものです。二組ともウールと化繊の合繊で、適度の張りと重さで、美しいシルエットがつくられています。
出典 「婦人画報」1967年12月号13頁
特集リード文批評
この特集リード文の説明も、個別のリード文も2人それぞれ2点ずつの作品をどこに書いているのか、配置が分かりにくいです。画像単位で説明しているのではなく、人単位で説明している点に注意。
白色と金色の2色の糸を材料にしたアンサンブル。ウールと化学繊維の合わせたものを合成繊維とまとめています。白色がウールで金色が化繊でしょう。
適度なハリと重さで美しいシルエットが作られるとの箇所ですけども、それがウールと化繊の合成によって生み出されるということです。もう少し具体的な質感の説明をほしいところ。
これらの作品は普通のドレスの丈になっているとの節から、1967年時点で膝が見える程度の丈が普通ということがわかります。ミニスカート・ミニドレスの時代らしい「普通」です。
白色と黄色との組み合わせが最もフォーマルの配色とのことです。これの根拠もほしい。
金の縞 うね織のようにみえるアンサンブル:右側の作品
リード文
うね織のようにみえるアンサンブルは、ウエストをかすかに締めた裾びらきのコートと、プリンセスラインの切替のドレス。
出典 「婦人画報」1967年12月号13頁
リード文批評
向かって右側の作品を見ましょう。
リード文が単なる説明に終わっているので、着用のメリットや展望が見えません。特集リード文の説明は糸、このリード文の1文目の説明は織物。「うね織」といわれても分かりにくい(畝織)。要するに凸凹に見える横縞だということです。
作品はシンプルなので好きです。
横縞のコートとドレスに対して、ドレスのプリンセスラインが縦線として強く対照的に見えます。コートにも脇下から縦ラインが入っていますが、肩上からではないのでプリンセスラインといえるのかどうか…。
同じ生地をドレスとコートで使うとかえって立体的に見えるので胸元辺りがカッコいいですね。衿の存在感もアップ。
金の波 タック入りコートとダイヤ型カットのドレス:左側の作品
リード文
ふくれ織のようなひと組は、背の切替からタックを裾まで流したコートと、背をダイヤ型にカットしたドレスでバルマン独得の計算されたデザインと縫製。
出典 「婦人画報」1967年12月号13頁
リード文批評
左の作品を見ましょう。
ふくれ織は畝織よりも凹凸が大きい織物。
コートの方は背中の切り替えからタックを裾まで流しています。
右のコートよりもルーズは仕上がりです。この切り替えにタックを入れて裾の方へ膨らませたということですね。背中にベロンと同じ布をあてがってるのと合わせて、ふっくらになっています。私は右側のコートの方がしプルで好きです。
2枚目の画像の左側。ダイヤ型にカットしたドレス。
リード文では背中にダイヤとありますが、写されていません。前部しかわかりませんが、いくつかのパネルに分かれていて胸部のど真ん中でダイヤ型にしています。これと同じようなパターンを背中にも施しているのでしょう。
これがバルマン流の独特の計算されたデザインと縫製ということになってます。そこ、一言だけバルマンらしさを加えてほしいところです。
まとめ
1960年代のモデルの写し方を見ていますと、やはり股を開いているのが多いですね。ラインでいうとAライン。
フランスの影響から、物理的根拠というか建築物的根拠というか、エッフェル塔をイメージするという当時のトレンドです。
リード文には糸、織物、デザイン、縫製の説明がありました。デザインと縫製の説明が少なかったのはやはり物足りないところです。
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