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パーティーに着るきもの:北村芳嗣デザイン

1960年代ファッション
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パーティーに着るきもの:北村芳嗣デザイン

ここに紹介する2点の画像とリード文は「婦人画報」1967年12月号10頁・11頁に特集された「パーティに着るきもの」です。

  • デザイン:北村芳嗣
  • カメラ:藤井秀喜
  • 美容・着付:名和好子
  • きもの:三松、北秀
  • モデル:浅丘ルリ子、水谷良重、牧紀子

特集リード文

たくさんの着飾った人の中で、いかに自分を個性的に生かすかとなると、まず自分が似合う色、好きな色のきものを選ぶことだと思います。/きものの上手な選び方は、着て行く場所にあわせることです。 おざしきに座ってみるきものと、 パーティーの広い会場でみるきものとでは、当然ちがってきます。「婦人画報」1967年12月号10・11頁

特集リード文批評

このリード文は自分と場所という2つの観点がそれぞれ2つの要素に分けられています。

1段落目は自分をうまく見せようとする観点に立っています。

そして、似合う色や好きな色を選ぶということが要素になっています。

これに対して第2段落は、着物を着ていく場所に合わせるという観点になってます。

その観点は2つの要素から成っています。

つまり、狭い座敷で座るための着物と広いパーティ ー会場での着物とでは異なると述べられていま す。

以上のことから似合う色好きな色座敷に座るパーティーに大事になるんですね。

それらの4要素が果たしてこの記事で紹介する二つの写真で爪がで きているのかあるいはそれぞれの写真についたリード文で説明がで きているのかこれを見てみたいと思います。

メキシコの蝶の羽を単彩で描いたモダン感覚のきもの

北村芳嗣「婦人画報」1967年12月号9頁

北村芳嗣「婦人画報」1967年12月号9頁

リード文

メキシコに、蝶の羽をアレンジした美しい民芸品がありますが、メキシカンルックといわれているなまなましい原色とは対称的な異国情緒があります。このきものは、メキシコの蝶の羽を単彩で描いたために、とてもモダンな感覚のきものになりました。ちょっと見ると地味なきものにみえますが、けっして着てみて地味ではなく、若さをモダンに表現しています。

出典 「婦人画報」1967年12月号10頁

リード文批評

さて1つ目の写真のリード文を見ましょう。
この着物の柄はメキシコの蝶の羽を単彩で描いたものです。 この柄によってこの着物はモダンになったと結ばれています。地味ではなく若さをモダンに表現していると結びます。
特集リード文にあった座敷やパーティ会場に適するという観点が全くないに気づ きます。

北村芳嗣「婦人画報」1967年12月号10頁

北村芳嗣「婦人画報」1967年12月号10頁

リード文

写真のきものは、二点とも花を図案化した新しい感覚のものですが、華やかな色づかいの古典的な文様の訪問着や、パーティードレスのなかで、シンプルでモダンな感覚は、かえって新鮮な美しさがあります。

出典 「婦人画報」1967年12月号11頁

リード文批評

2点目のリード文を見ましょう。2種類とも花を図案化した新しいデザインという風にまとめられています。シンプルなモダン感覚がかえって新鮮さを出すという風に、パーティードレスとして、これらの衣装を位置づけています。このリード文は2つ目の観点、つまり場所を優先した着用を念頭においています。

まとめ

以上をまとめますと、2つの観点と4つの要素を使いこなすという期待が裏切られた文章でした。
そこで特集のタイトルに戻りましょう。「パーティーに着るもの」ということですから、1点目で自分、2点目で場所のうちパーティのみという絞り込みができます。
したがって、そもそも上述の期待の方が間違っています。
とはいえ、座敷という場所と比較するような二項対立に基づいた説明に縛られているリード文は、パーティでの着物の活かし方そのものを述べていないので、近代的な二項対立偏見に基づいた内容となっています。

1960年代ファッション
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いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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