ドレスと真珠のバリエーション(ルリ・落合)

1960年代ファッション
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ドレスと真珠のバリエーション(ルリ・落合)

このページでは「婦人画報」1967年2月号、22頁~27頁に特集された「ドレスと真珠のバリエーション」をご紹介しています。

1960年代に独特の服飾デザインとリード文を生み出していたルリ・落合の作品です。

モデルは中原ひとみと加賀まりこ。

ヘアは名和美容室と伊藤五郎、協力は田崎真珠です。

特集リード文

すばらしい真珠のブローチもそれがブローチだけの用途におわってしまうのは残念です。イヤリングだって、ネックレスだって同じこと。それらを組みあわせ、ドレスの性格にあわせて使うことができたら、いままでのアクセサリーは、2倍も3倍もの効果を発揮する、そんな夢をみたしてくれるのが〈真珠のバリエーション〉です。 「婦人画報」1967年2月号、23頁

特集リード文批評

ルリ・落合は、ワンピースもツーピースやアンサンブルもドレスだと捉えている点が大切です。

ワンピース・ドレスだけをドレス(衣装)とは考えていません。

ピンクのドレスと真珠

ピンクのドレスと真珠。デザインはルリ・落合。「婦人画報」1967年2月号、22頁

リード文

リボンレースのプレーンなカクテルドレスに、真珠にルビーとダイヤを配した部路地を、ネックレスの中央にとめて豪華なアクセサリーにしました。イヤリングも同じデザインのものです。「婦人画報」1967年2月号、23頁

リード文批評

モデルは中原ひとみ、ヘアは名和美容室。

ピンクとグレーのアンサンブルと真珠

モデルは中原ひとみ、ヘアは名和美容室。

ピンクとグレーのアンサンブルと真珠。デザインはルリ・落合。「婦人画報」1967年2月号、23頁

リード文

グレージャージィーに、ピンクのフラノをあわせたローウエストのドレスと長い上衣。ブローチとイヤリングを胸もとと衿に飾りました。「婦人画報」1967年2月号、23頁

リード文批評

グレージャージィーはグレー色のジャージー。

全体が暗い印象にならないのは、大きな衿と可愛いボタンの効果でしょうか。

白色のブローチもグレーの暗さを払拭しています。

黒いドレスと真珠

モデルは加賀まりこ、ヘアは伊藤五郎。

黒いドレスと真珠。デザインはルリ・落合。「婦人画報」1967年2月号、24頁。

リード文

オーガンジーにカットウォークで花柄を浮かせたシックな夜のドレス。黒いドレスにひときわ美しい真珠は、チョーカーとプレスレットをつないで、そのつなぎめにエメラルドを配した豪華なブローチを二個つけました。どんなイブニングドレスのアクセサリーとしても充分な格調の高さを備えたものです。「婦人画報」1967年2月号、24頁

リード文批評

髪の毛の黒とドレスの黒がマッチしています。

そこに大胆に肩を露出させたカッティングがカッコいいです。

白とページュのアンサンブルと真珠

モデルは加賀まりこ、ヘアは伊藤五郎。

白とページュのアンサンブルと真珠。デザインはルリ・落合。「婦人画報」1967年2月号、25頁

リード文

白いシャージィーの上部に、ページュと白のオプ柄のメルトン地をあわせたローウエストのドレスと、長めの上衣のアンサンブル。黒いドレスのアクセサリーをはずして、ドレスの胸と上衿の衿に、それぞれブローチを飾りました。ドレッシィーな夜のドレスから、気軽な昼の装いまで、同じブローチが使えるたのしさです。「婦人画報」1967年2月号、24頁

リード文批評

同じブローチが使える楽しさは、節約の楽しみとも理解できます。

ルリ・落合の飾らない遊び心が出ていて良い文章と発想ですね。

イブニングドレスと真珠

モデルは中原ひとみ、ヘアは名和美容室。

イブニングドレスと真珠。デザインはルリ・落合。「婦人画報」1967年2月号、26頁

リード文

栗色の上部に、黒と茶の縞のスカートは上質のイタリアの絹です。ローウェストに光沢の美しいシールのベルトをボウに結んだ、同系色の渋い色調をあわせた、イプニングドレスです。三連のネックレスに、ブローチとストッパーを飾り、ブレスレットのとめ金も同じ金に真珠を配した豪華なデザインです。細い金の枝の先に、つぶのそろった真珠がモビールのようにゆれ動くのが、このデザインの特徴です。ウエストのベルトにブローチだけ飾っても充分豪華な雰囲気が味わえます。「婦人画報」1967年2月号、26頁

リード文批評

今号のルリ・落合の作品にはローウエストが多いです。

着用者に優しい印象。個人的にはハイウエストの方がカッコいいと思いますが、今回の作品類の多くは上半身に露出を集中させて、そこにネックレスやブローチなどのアクセサリーを持ってくるという配置。

特集に合わせて作品をコーディネートする能力が高いですね。

よく考えています。

イブニングドレスと真珠

モデルは加賀まりこ、ヘアは伊藤五郎。

イブニングドレスと真珠。デザインはルリ・落合。「婦人画報」1967年2月号、27頁

リード文

コントラストの美しい白と黒の生地は、くっきりと横うねの強いフランス製の厚地の絹。黒いシールをローウエストにおいた、細っそりしたシルエットです。ブルーのバロックのネックレスに、ケシ(天然の小つぶ真珠)を下げたブローチと、イヤリングをとめて豪華なアクセサリーにしました。ブレスレットもブルーのバロックです。ケシと呼ばれる天然真珠は、その繊細さが特色なので、その味をいかして不揃いな長さの連をつくり、かすかな身動きにもゆれ動く効果をねらったデザインです。カクテルやアフタヌーンドレスには、ブローチ1つだけでも効果的です。流行にとらわれず、どなたにも似合う〈真珠のバリエーション〉をおたのしみください。「婦人画報」1967年2月号、27頁

リード文批評

ケシと呼ばれる天然真珠を使った動きやすい効果に驚きました。

このため衣装は動きの分かりにくい白色と黒色と、単一色にしている点にデザイナーの深い技量を感じます。

TASAKI PEARLS 田崎真珠。「婦人画報」1967年2月号、28頁

リード文

あなたの耳に深い海のささやきが…。
手の掌にのせれば、万葉よりの静寂の流れ
かざられた胸に真珠のいのちが輝く「婦人画報」1967年2月号、28頁

リード文批評

真珠と万葉が結びつきませんが、少し調べてみたところ「万葉集」にはしばしば真珠が出てくるそうです。

真珠を「玉」や「あわび玉」と称した歌があるそうです。詳しくはこちら

田崎真珠の店舗網が記されているので併記しておきます。

  • 東京店…東京都中央区銀座西6-5
  • ヒルトン店…東京ヒルトンホテル内
  • オータニ店…ホテルニューオータニ内
  • 東京パールファーム…(ショールーム)溜池電停前
  • 札幌店…札幌ハークホテル内
  • 三宮店…神戸新聞会館秀品店内
  • 本店…神戸市葺合区旗塚通6-9

本店が神戸市だと知りました。カタログ希望者には銀座店へ連絡とのことで、大きな事務機能は銀座店にありました。

また、広告最後には、真珠を買う時にはパールマークの店でと促していて、このマークの店は日本真珠小売店協会会員店を意味しています。

1960年代ファッション
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この記事を書いた人

いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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