革の種類とデザイン レザー・ファッション:宮沢有紀
ここに紹介する4点の画像とリード文は「婦人画報」1967年12月号42頁~45頁に特集された「革の種類とデザイン レザー・ファッション」です。
- デザイン:宮沢有紀
- カメラ:藤井秀喜
特集リード文
革は表と裏の二種類から、いまは染色も自由、光沢の美しい加工もほどこされ、実用着からおしゃれ着まで発展してきました。
出典「婦人画報」1967年12月号42頁
特集リード文批評
コーティング加工によって従来のレザーは1960年代にとくに発展したのかと思いました。表革、スエード、パール革、メタルキッドの4点を説明しています。私としてはスエードがカッコいいと思います。さっそく見ていきましょう。
表革
出典「婦人画報」1967年12月号42頁
リード文
ごぞんじのように皮の表。毛穴のあるほうをなめし仕上げしたスポーティーな感覚の、もっとも革らしい革。実用的なジャケットやカーコートむきです。
表面がなめらかなので、汚れがつきにくく特につやのある革は防水加工してあるので汚れにくく手入れも簡単。水または中性洗剤の液か、良質のクリーナーでふきとります。ひどい汚れは、信用のおけるクリーニング店にまかせ、ベンジンなどの薬品は禁物です。
▲ハトロン紙色の羊の表革でつくった、ジャケットとキュロット・スカートのスポーティーな組み合わせ。共革のハンドステッチでラフな感じを強めました。
出典「婦人画報」1967年12月号42頁
リード文批評
白黒写真なので革とわかりにくいのですが、羊の革とのこと。革はスポーティーだと2回も言われていて、スポーティーなので手入れは簡単ということです。ジャケットとキュロットのアンサンブルは相応しいと思います。
スエード
リード文
革の裏を起毛させて、つくられたスエードはデリケートな光沢と肌ざわりが、ベルベットのようです。スポーティーなものより、小粋な、おしゃれ着にふさわしいものです。
スエードを美しく着るのはむずかしいことです。それにはこまめな手入れが大切。着るたびに全体のホコリをブラッシでおとし、肌に直接ふれた衿もとや袖口などは、硬めのブラッシかスエード専用の消しゴムでこすって、シミや変色の原因になるあぶら汚れをけずり落としておきます。ひどい汚れは専門店にまかせましょう。揮発油などの薬品は、かえって汚れをひろげ、シミをつくるもとになります。
▲栗色のカーフスエードのワンピースと上衣のアンサンブル。カラフルなスエードをはぎあわせたボウは、とりはずしができます。
出典「婦人画報」1967年12月号43頁
リード文批評
革に比べて手入れが難しいのがスエード。手入れ方法が詳しく説明されています。作品は少し上衣がゆったりしていてバランスが悪いと思うのは私だけでしょうか…。スエードのスカートは反則ですね、カッコよすぎます。
パール革
リード文
シルクサテンのような美しい光沢のパール革は、仔牛や世辻などのきめの細かい革の表面にパール剤(貝殻や魚のうろこを粉末にしたもの、鉛などの化合物)を塗ってつくられたものです。スエードよりいっそうドレッシーな感覚の革なので、おしゃれ着から礼装的なものまで使われます。
この革は、水をはじき汚れがつきにくいので手入れはいたって簡単です。水か中性洗剤の液で拭くだけで充分。ベンジンなどは、パール剤をとかすので禁物です。汚れには強いのですが、傷つきやすく目立ちますので、なるべく大切に。
▲ピンクとブルーのおしゃれコート。ピンクにはスノー・レオパード(雪豹)ブルーにはホワイト・フォックスの毛皮をつけましたがはずせば、雨にぬれても平気なコートです。
出典「婦人画報」1967年12月号44頁
リード文批評
レインコートにしか見えないと思っていたら、雨に塗れても大丈夫なコートとのこと。パール剤を使っている分、リード文ではスエード以上にドレッシーと述べられていますが、スエードよりはるかに薄っぺらく、単なる合羽(カッパ)にしか見えません。帽子はともかく、衿のマフラーや手首のカフスは邪魔。もっとシンプルを徹底させた方が映えそうです。
向かって右モデルの立ち方はピエール・カルダンのモデルに多いものですね。
メタルキッド
リード文
メタリックな流行は、素朴な革に、こんな金属的な表情をもたせるようになりました。この革は、キッド(仔山羊の皮)などの、もっともきめの細かいものをえらんで、表面に金属の箔を張ってつくったものです。鏡のように冷たい強烈な光沢が新しい魅力です。
礼装用のバッグ、ベルト、靴、草履などに使われていますが、伸縮性が全くないのですから、実用的なものには不むき。装飾的なものにむいています。
この革は、表面が金属なので、完全に水をはじき、汚れる心配もありません。よく乾いたやわらかい布で、軽く拭く程度で充分です。
▲銀色と金色のドレス、カクテル用のドレスですが、面積の小さな革なので、切替線を図案的に扱い、鎖と時計をそれぞれアクセントにしました。
出典「婦人画報」1967年12月号44頁
リード文批評
伸縮性がないゆえに実用的なものには向いていないというアイテムは衣服を指します。バッグ、ベルトなどにメタルキッドは使われていますから、実用的なものに向いているともいえる点に注意。
ノースリーブのうえワンピースドレスの線が細めのHラインなので、切替線を図案に使うことでゆったり目に見せる点はなるほどと思いました。鎖も時計も斬新で可愛いですね。私なんぞは、時計が太腿に付けられていたら釘づけになって「どうしよう・どうしよう」とあたふたしたと思います。時計モデルの女性がタイプなだけに…。
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