ジャンニ・ヴェルサーチ(Gianni Versace)は、1946年にイタリア南部のレッジオ・カラブリアに生まれたファッション・デザイナーです。ミラノの生んだイタリアのトップ・デザイナーの1人と呼ばれます。
経歴
ブティックを経営する母の影響のもとで育ち、ミラノへ出てデザイン活動を始めました。巧みなカッティング技術が評判で、1972年に「ジェニー」のデザイナーに抜擢。「マリオ・ヴァレンティノ」の皮革部門や「コンプリーチェ」の契約デザイナーとして活躍しました。
1978年に「ジャンニ・ヴェルサーチ」コレクションをミラノで発表し、同年に自店をオープン。セカンド・ラインとして、1985年に「インタスタンテ」、90年には「ベルサス」をスタートしました。
1989年からはパリでオート・クチュールも発表。この時期には、精力的にオペラやバレエの舞台衣裳なども手がけている。1993年には妹のドナテッラ・ヴェルサーチ(Donatella Versace)が「ヴェルサーチ・ヤング」を子供向けのラインとしてスタート。
1980~1990年代に「ミラノの3G」(ジャンフランコ・フェレ、ジョルジオ・アルマーニ)としてミラノのモード界を牽引しましたが、1997年7月にマイアミの別荘近くでゲイの高級売春夫(恋人との説が濃厚)によって射殺されました。
ロイズ組合保険からはヴェルサーチ・グループにたいし、キーマン保険の保険金23億円が支払われたといわれます。ヴェルサーチ自身、自分が同性愛者であることを表明していました。1998年春夏レディス・コレクション以後はドナテッラ・ヴェルサーチが後継となりました。
作風
ファッションの仕事をしていた母からの影響を色濃く受けたジャンニ・ヴェルサーチが頭に描いてデザインする女性は「知性的で男と同等に働く女性で、プライベートな内面にやさしさ、デリカシー、女らしさを持つひと」。
作風は力強くセクシーでゴージャスなもの。最高級服地を使ったシンプルな作品群はカッティング、縫製とも完ぺきの域に達し、ステイタス・ファッションとなっています。想像性ゆたかなアクセサリー・デザインにも定評があります。通算4回のオッキオ・ドーロ賞、オスカー賞など、数多く受賞しています。
ドナテッラ・ヴェルサーチ
兄ジャンニ・ヴェルサーチの後を継いだ妹ドナテッラ・ヴェルサーチは、兄と同じレッジオ・カラブリアで1959年に生まれました。フィレンツェ大学で言語学を学ぶ傍らで、ヴェルサーチの広告スタイルを決定づけた写真キャンペーンを統轄し、兄をアシスト。以後、ヴェルサーチには必要不可欠な人物として活躍しました。
ファッション・パイオニアをめざした最先端ブランド「ヴェルサス」の主任デザイナーなどを経て、現在イメージ・ディレクターとスタイル・ディレクターを兼任、さらにヴェルサーチ・グループの副社長を務めます。
コメント