大セルのアセテート織物 セルテート:大日本セルロイド

1960年代ファッション
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大セルのアセテート織物 セルテート:大日本セルロイド

これは、「ドレスメーキング」鎌倉書房、通算56号(1955年11月号)38頁に掲載された大日本セルロイドの広告です。
「大セルのアセテート織物 セルテート」と題され、化学繊維の一つアセテートを使った織物「セルテート」を宣伝しています。
英語表記は

  • アセテート…acetate
  • セルテート…celltate

です。
リード文を読んでみましょう。

服地も着尺も安心してお求め願えます

出典 「ドレスメーキング」鎌倉書房、通算56号、1955年11月号、38頁
消費者は何を不安がっているのか、化学繊維への疑心が強かったのだと思います。
安心という宣伝文句が1960年代前後にはちょくちょく見受けられます。
「怖いですよ」や「危ないですよ」という宣伝は存在しませんから、「安心ですよ」ほど信用できないものはありませんが、アセテートは現在でも衣料品の原材料に使われているので、たぶん安全かと…。つい、アスベストと勘違いしてしまうので、ウダウダ述べてしまいました。
なぜ安心かの理由が次に書いてあります。

なぜなら……羊毛に一番近い風合と弾力性、絹によく似た感触、それでいて適度の吸湿性をもち、衣料に最適の化繊として賞揚されるアセテートの持味そのままの織物だからです。しかもお値段は毛織や絹の1/3程度の手頃さです。

出典 「ドレスメーキング」鎌倉書房、通算56号、1955年11月号、38頁
この製品が安全なのは「アセテートの持味そのままの織物だから」で、アセテートが安全である点を説明していない点が目立ちました。

『ドレスメーキング』通算56号、1955年11月号、38頁


この生地には次のような疑似区分が行なわれています。

  • 毛織物風の織物…タッサー、カシミヤ、ツイード、ゴールドバック、パナマ、ポルトワン、ピンヘッド、柄物、着尺、モスリン…ほか
  • 絹のような織物…タフタ、ピンチェック…ほか
  • 製品…プリーツ・スカート、ブラウス…ほか
この頃には天然繊維に似せた化学繊維による代替化が進んでいたことが分かります。この段階にくると化学繊維は「天然繊維のような…」という形容をもちはじめることも確認できます。自分だけでは「原材料が石油などの化学物質だ」とは書きにくいからです。
1960年代ファッション
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この記事を書いた人

いろんなファッション歴史の本を読んで何も学べなかった残念なファッション歴史家。パンチのあるファッションの世界史をまとめようと思いながら早20年。2018年問題で仕事が激減したいま、どなたでもモチベーションや頑張るきっかけをください。

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