ジーンズとデニムの起源と歴史
このページではジーンズとデニムの起源と歴史を説明しています。
ジーンズとデニムはもともと産地が違うものでしたが、19世紀グローバル化以降、いまではすっかり同義に使います。
ですからジーンズとデニムの違いはわかりにくいです。
この辺を起源と歴史からたどってみます。
ジーンズとは
ジーンズは細綾の丈夫な綿布で作られたズボン(パンツ)です。英語表記は「jeans」。
ジーンズの素材となる細綾の丈夫な綿布をジーンといいます。
ジーン布を裁断して複数のパーツに分けてから縫製するので、完成した衣料品をジーンズというわけです。
綾織の厚手綿布はジーン(jean)のほかにデニム(denim)といいます。デニムは衣料品名としても使いますが、最近のこと。
ジーンズとデニムの違いを要約します。
- ジーン=デニム:綾織り厚手綿布
- ジーンズ=デニム:ジーン(デニム)を使ったパンツ衣料品
つまりデニムが生地も衣料品もさすのでややこしいだけです。
※アメリカの地理と歴史にみるジーンとデニムの違いは後述
同じ素材(細綾の丈夫な綿布)で作られたジャンパー、ベスト、シャツ、作業服なども含めてジーンズということもあります。
1960年代後半から1970年代前半にかけて日常着として世界中で一般化しました。
その後はディテールにいろんな種類が生まれ、今でも若者を中心にあらゆる年代が着用しています。
パンツでは特に14オンスのIndigo Blue(インディゴ・ブルー)のデニムが代表的で、これはその色からブルー・ジーンズといわれます。
ジーンズのデザイン上の特徴はこうです。
ポケットの端々に銅の鋲(クーパーリベット)を打ち、右ポケットの内側には小さな時計入れ(フォブ・ボケット)を設け、ヒップポケットの上部に革のラベルをつけ、全体をミシンでダブル・ステッチします。
アメリカの地理と歴史にみるジーンとデニムの違い
ジーンズの名前の由来をみましょう。
19世紀中頃のアメリカ合衆国ではジーンという丈夫な厚手の綾織綿布で作られた作業着などの衣服をジーンズと呼んでいました。
アメリカ西部ではジーン製のパンツをデニム・パンツと呼んだのに対し、東部の人々はデニムとジーンズに共通点があることから、これをジーン・パンツといい、これが一般化しました。
ジーンズは、ご存じのとおり、日本ではジーパン(Gパン)と呼ばれてきました。
この名の由来はジーン・パンツを誤ったスペルで略したと考えられることもありますが、正しい由来は、第2次世界大戦後に日本へやってきた米兵(Government Issue)たちが穿いていたGIパンツ(GI pants)の略語です。
ジーンズの起源
ジーンズの起源はリーバイ・ストラウス(Levi Strauss社)の同名創始者にあります。
1850年、リーバイ・ストラウスが金鉱探しのための作業用ズボンとして、テントのキャンパス地でズボンを作り、それを蛇や虫除けのために天然染毛料インディゴで染めたのが始まりです。
フランスではlevi(レビ)と俗称されることが多く、これはリーバイ・ストラウスの名や商標Levi’s(リーバイス)をフランス語読みしたものです。
ジーンズのデザイナー : クレア・マッカーデルの活躍
1940年代、アメリカではクレア・マッカーデルという女性デザイナーが既製服ビジネスとしてアメリカン・ルックの発展に寄与しました。
女性ジーンズの大流行はマッカーデルが火付け役となりました。
1942年、ジーンズ生地で「ポップ・オーバー・ドレス」を制作しました。ジーンズにくるまれた繋ぎのドレスです。
また、翌1943年にクレア・マッカーデルはジーンズ素材のシャツ・ウェスト・ドレスを制作しました。
シャツ・ウェスト・ドレスとは、当時流行していた服で、衿と袖口留(カフス)が付いた、腰までボタンのあるドレスのことです。
さらに1944年には男性作業員向けの頑丈な2本縫を施したアメリカン・スリーブの上衣と丈長のスカートの組み合わせ(アンサンブル)を制作しています。
もともとジーンを使うと簡素でスリムな作品になりやすいのですが、これに加えマッカーデルの1944年のアンサンブルはノースリーブ(袖無し)の上と丈長の下が対照的に仕上がっていて格好良いと思います。
20世紀後半のジーンズ人気
1960年代初頭、若者たちの衣装としてロンドンに登場したモッズ・ルックは、リーバイスのジーンズ、ポロシャツ、丈の短い3つボタンのジャケットの組み合わせが代表的でした。
また、「リーバイス501」などのようにシリーズ名が商標のように有名となっていった場合もありますね。
リーバイスのジーンズは古着の中でもとくにヴィンテージ・クローズ(ビンテージ服)といわれ、作業着や普段着がオークションで高級品となることがよくあります。
なお、一般のカジュアル・パンツでジーンズの設計や素材を意識して作った衣料品をジーニング・パンツといいます。
これが派生して、1980年代以降、スウェード、コーデュロイ、ベルベットなど、ジーンやデニム以外の生地でつくったパンツも、設計が同じならジーンズといっています。
極端にいえば、ほとんどのズボンやパンツはジーンズやデニムになったわけです。
デニムとは
デニム(denim)は糸染の厚地織物の一種。
経(たて)にインディゴ (青藍) で染めた10~14番の太糸を、緯(よこ)に細めの、12~16番の晒し糸か未晒し糸を用い、2/1の三つ綾か3/1の四つ綾に織った生地のことです。
ジーンズの生地として広く知られています。
デニムの語源
デニム の名前はフランス語の「Surge de Nimes」(サージ・ド・ニーム/ニーム地方で織られるサージの意)が訛ったものです。
デニムの織色や生地の種類
デニム生地の色や種類をみましょう。
標準的な青色デニム
標準的な青色デニム(≒ジーン jean)は裏白デニムといわれ、経糸に紺糸を用い、緯糸に未晒し糸を使って織った生地。経糸が表面に多く浮いているので、紺色に見えます。
経糸の色は藍色の他、赤色、鼠色、茶褐色などがあります。
いずれもインディゴ同様に、表面には経糸が多く現われるので染め色が濃く現われます。
作業服地用のものは少し軽めで、経糸に淡色の染糸を使ったものが多く使われます。スポーツウェアに使う デニム は、そのままスポーツウェア・デニムと呼びます。
縞デニム
また、縦縞や格子を表わした縞デニムもあります。
これは密な組織で、カレンダーがけによって、滑らかで手触りの柔らかい布面に仕上げられます。
純綿のものが多いのですが、中には化学繊維、特に、ビニロン、ナイロン、ポリエステル、レーヨンなどを混紡したものも増えています。ウーリー・ナイロンなどの伸縮性のある織糸を使ったものもあります。
室内装飾に使うデニム
室内装飾に使うデニムには、アップホルスタリー・デニムとファーニチャー・デニムとがあります。
前者は椅子やソファなどの家具装飾に使うもので、ジャカードかドビーで織っています。これは太番手の織糸を使った厚地のもので、緯糸には経糸より太い糸やリング糸、または節糸などが用いられています。
ファーニチャー・デニムは家具の下張りに使うもので、デニムと名前は付いているものの、糸染織物ではなく、ドリルか粗布を青色、赤色、茶色などに染めたものです。
関連サイト
- The Story of Jeans and How They Grew – NYTimes.com
- Denim: Fashion’s Frontier | Fashion Institute of Technology
- Claire McCardell originated The American Look (part 1) |
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