この記事では、スリットの意味と種類を説明し使用例を紹介しています。
スリットはジャケットやコートなどの上衣の裾や袖や脇、下衣ではスカートやパンツの裾によく使います。
ここではスカートのスリットを念頭において意味や種類を説明します。
スリットの意味
スリットとは、切り込み、裂け目、割れ目、切り口、隙間などの意。英語「slit」から。
スリットは身体に余裕をもたせて動きやすくしたり、衣服を装飾したりするために用います。
2か所の切れ端をそれぞれ別に縫い、開き部分で重ならないことが多いです。この開きをスリット開き(スリット明き)ともいいます。
スリットの種類と使う部位
スリットの種類は長さで区別したり、部位で区別したりします。
長さだとロングスリット、ミディスリット、ショートスリットなど。
スリットを使う部位ではスカート、ネックライン、ポケット、アームホールなど。
対応するファッション用語とスリットの説明は次のとおり。
スリット・スカート
スリット(切り込み)の入ったスカート。
スカートの裾に使われます。長さはいろいろ。
スリット位置は前・後・脇など。
スリムスカートやタイトスカートのように裾口がせまく運動量が乏しいスカートによく使います。
スリット・ネックライン
首ぐりから前後中心などの縫い目にそって切り開かれたネックライン。
前中央がカットされた衿ぐりはオープンフロント・ネックラインともいいます。
スリット・ポケット
布を切り込んだポケット(箱ポケットやウェルトポケットとも)。
ポケットの容量が増えます。
箱ポケットではスーツの胸ポケットが有名。
スリット・アームホール
スリットのあるアームホール。
一例に日本の着物の袖付下にある身八つ口。
スリットの深いスカート
タイトスカート
洋服に使われるスリットはタイトスカートに多く見られます。
窮屈なスカートだと動きにくいからです。これは着用者の観点。
スカートがタイトなら注目されやすくなります。脚が見え隠れする点がセクシーポイントとなります。これが見る側の観点。
チャイナドレス(旗袍)
上の画像。
膝下丈のチャイナドレス(旗袍)のタイトタイト部分のスリットを、膝を曲げることで脚を強調した場面です。
チャイナドレスの事例をもう一点。
次の画像はウォン・カーウァイ監督映画「花様年華」から。
主演女優マギー・チャンの着るナルト柄のチャイナドレスには、膝頭から太腿の中ほどまでスリットが入っています。
よく衣服史の本では、スリットが最初に使われたのは1910年頃に流行したホブル・スカート。
歩行を助ける目的だったといわれます。
これはヨーロッパ目線の話です。グローバルにみると全く時代錯誤の話です。
チャイナドレスは清代まで下側(内側)にズボンを併用しました。
清代中国の袍服(のちに旗袍)はその3世紀以上前からスリットが入ってたわけです。
1930年ころからチャイナドレスがワンピースになり、スリットから脚が見えるようになりました。チラリズムの誕生です。詳しくは「旗袍のスリット(开衩・開衩)」をご覧ください。
コメント
スカートは意外と歴史が長く、ヨーロッパの女性たちの趣味嗜好により、いろんなアレンジがされてきました。意外とパンツよりも動きやすく、快適で楽ちんです。
驚くのは、昔の女の人は、ロングスカートを履いたまま何でもやってきたことです。冬山登山、スキー、アイスホッケー、ロッククライミング、野球、サッカー、体操などなど。中でも命を懸ける決闘までやってきました。上衣を脱ぎ、胸を丸出しにして、片手に剣を持ち、片手でスカートを持ち上げて闘っていたのです。その絵が残ってますが、何故か胸が熱くなります。それにしても、昔の女の人は大胆だったのでしょうか?
当時の女性たちは、動きやすさを求めて、スカートを短くしようとはおもわなかったのですか?
スカートのプリーツについても解説をお願いしたいです。