ブラジャー(brassiere)は胸囲のファンデーション(補正下着)のことです。単にブラ(bras)とも。
ブラジャーは多くの部分から制作される複雑な衣料品です。ポピュラー型やスタンダード型に加え、後ろホック型(バンドゥ・ブラ)、ソフト・カップ他、さまざまな種類とデザインがあります。
ブラジャーは乳房を支えるため、乳房を保護するため、乳房の形を整えるため(bust-up)に設計されています。水着、キャミソール、背中露出のドレス(backless dresses)など、構成する部分をさす場合もあります。
語源
ブラジャーはフランス語のブラシェール(brassiere/胸衣、背負い革)が英語転化した言葉です。リュックサックなどの負い革のことでした。戦前の日本では「乳押え」や「乳おさえ」。
ブラ・サイズの計測法
ブラジャーを選ぶにはデザイン性は大事ですが、それ以上に、乳房の形に適合的で体型補正をする機能性が大切になります。そのためにはサイズを正確に計ることが重要。
ブラジャーのサイズはカップ・サイズとアンダー・バストで表示されているので、これらを知る必要があります。カップ・サイズはトップ・バストとアンダー・バストの差ですから、サイズ選びにはトップ・バストとアンダー・バストを知る必要があります。
ブラのサイズの測り方はいろんなオンラインショップで紹介されています。たとえば「白鳩ネットショッピング」には「レディス下着のサイズと測り方」のページがあります。
ブラジャーの素材
ブラジャーに使用されるカップ部分はコットン、ポリエステル、キュプラなど。他の部分にはスパンデックス、ゴムなど。1970年頃までは絹、人絹、ナイロンなども使われていました。
シルエット
ブラジャーの形はTPOや流行で変化するため、胸の豊かなシルエッ卜にする時はプラ・カップが必要となったり、HラインやAラインなどのように胸が目立たないフラットなシルエットが好ましい場合にはパッドを入れず少し押さえ気味のブラジャーを使う。
またイヴニング・ドレスなどのように紐のない上体衣を着る場合には、ブラジャーも紐のないものが無難。このブラにはずり落ちないように鯨骨(げいこつ)やゴム入りが多い。布地の薄いブラウスやドレスを着るときは透けるので注意する必要があります。
種類
ブラカップ別
- フルカップ・ブラジャー – バスト全体を覆うブラジャー
- ハーフカップ・ブラジャー – バストの半分を覆うブラジャー
- 3/4力 ップ・ブラジャー – フルカップとハーフカップの中間形ブラジャー
- 三角カップ・ブラジャー – 三角形のブラ・カップをもつブラジャー
カップ以外の形状別
- ロング・ブラジャー(ロング・ライン型):ウェストまで繋がりボディラインも整える丈の長いブラジャー
- フロント・ホック・ブラジャー:ホックが前に付けられたブラジャー。
- ブラスリップ:ブラジャーとスリップが1つになったファンデーション。
- フロントフック・ブラ:ブラジャーはふつう後開きのものが多いが、前中心をフックで開閉するようになったブラをフロントフックといいます。後開きを嫌う人たちには好評ですが、前中心がかさばり、少し浮く欠点があります。
- ストラップレス・ブラ:ストラップ(肩紐・吊紐)のないブラジャーのこと。ストラップレス・ブラジャーの略。ドレスによっては吊紐が不用な時があります。たとえば衿なしで袖もなく、肩幅が非常にせまいドレスや、レースのように透ける生地で吊紐が透けては困るドレスの場合などに用います。支点が乳房そのものになるため、ストラップレスは乳房の大きい人には向いていますが、貧弱な人には動作とともにずり落ちる欠点があります。
- オフショルダー・ブラ:吊紐が肩先へそれた型のブラジャー。ドレスの衿開きが横に広くあいている場合に向いています。
- プランジンク・ブラ:前中心が深く切込んであるブラジャーのこと。 ドレスの衿明きがV形に深くあいているときに付けるもので、スリップもプランジンク型を用いるのが無難。プランジンクとは「切込み」という意味。
- ストレッチ・ブラ:肩紐が自由に伸縮するブラ。肩紐の材質はゴムによく似たスパンデックス(spandex/ポリウレタン系の弾性繊維)。ゴム生地とは違って老化しにくく、ファンデーションの材質としては画期的なもの。この生地はブラジャーだけでなくガードルにもよく使われてきました。ストレッチ・ブラの特徴は、肩紐が伸びるため動作による圧迫感がなく、着やすい点にあります。ストレッチ・ブラはほとんどがオフショルダー・タイプです。ストレッチは「伸びる」の意味。
- マタニティー・ブラ:授乳用のブラジャー。授乳しやすく工夫されています。カップの部分が吊紐にフックで留めてあり、フックをはずすとブラがはずれ、吊紐だけが残ります。またはカップの部分が二重になっていて、上側がはずれ、下側には中央に穴があいていて乳首が出るようになっているものもあります。いずれもカップの裏側にビニールが張ってあって、乳汁が外に浸み出ないような工夫がされています。使う時には衛生的にガーゼなどをカップの内側に当てるのがいいでしょう。
- ロングライン・ブラ:ショー トライン・ブラに対して丈の長いブラジャーのこと。
- キャミソール・ブラ:丈がウェストラインまであるブラジャー。上半身をほとんど覆います。このブラジャーとペティコートを組合わせて使うと、片方ずつの吊紐が2本乱れます。キャミソール・ブラはスリップを着たときのようにストラップが乱れず、すっきりと着こなせます。冬期は上半身がきっちり締まるので保温にもなります。
- スリー・イン・ワン:1で3つの役目を果たすところからこの名があります。上部がブラジャー、中央部がウェスト・ニッパー、下部がガーター・ベルトの役目をそれぞれ果たすもの。おしゃれ用のファンデーションで、裾lが幾分拡がったドレスのとき用いられます。19世紀までの貴族層たちの下着でしたが、20世紀になって3つに分離していきました。元鞘のような展開イメージです。
- オール・イン・ワン:すべてが一つにまとまったもので、ブラジャーとウェスト・ニッパーとガードルが連続しています。スリー・イン・ワンとほぼ同義。裾開きのないタイトなドレスに向きます。カクテル・ドレス、イヴニング・ドレスに多用されます。コースレッド(corselet)とも。
- バックレス・ブラ:後ろの部分のないブラジャーのこと。バックがウェストラインまで開いたサマー・ドレスやイヴニング・ドレスを着るときに必要になります。かなり特殊なブラジャーです。
- ローバック・ブラ:背部が下がっているブラジャー。バックレスほどではありませんが、後衿開きが深いときに付けます。サマー・ドレスなどに使われることが多いです。
ブラジャーの歴史
古代から胸衣は存在しました。胸に布を巻いたものがほとんどです。
1880年代ごろに針金やセルロイドを乳型のカップ状に作って布で覆うものが出てきました。これが下着として使われたかはわかりません。
ブラジャーの実用化
補正下着は19世紀ヨーロッパ貴族の間でコルセットが主流でしたが、20世紀に入って胸・胴・尻へ分離しました。その胸部分に当たるのがブラジャーです。1900年代に開発・販売されはじめ、当初は現代のキャミソール風のものでした。1920年頃からバスト・ボディスはタイトになり、胸を張らないストレートなブラジャーが流行しました。1921年にはアメリカでコルセット式コンビネーションとブラジャーが考案されました。
立体的ブラジャーの登場
乳房の膨らみを強調する立体的なブラジャーが実用化されたのは1930年頃のアメリカでした。開発時には、Chas. R. De Bevoise Company、H&M、the Charma Brassiere Company等が競合しました。
現在の形のブラジャーは1937年頃からです。 1940年ごろからレース飾りのあるロング・ブラジャーをコルセットの上からつけるようになりました。
立体的ブラジャーが登場してから、それまで脚にあった女性美基準は乳房に向けられるようになります。
クリスチャン・ディオールは1947年にニュー・ルックを発表した時、ブラジャーで胸を整えることを主張しました。彼の考案したブラジャーはワイヤーを用いるところに特徴がありました。これはワイヤーを螺旋乱状にして2本に合わせたもので、前後左右に自由に動くところから流行しました。これを期に日本でも第二次大戦後の普及時代を迎えます。
スパンデックス素材の登場
1960年ころに弾性合成繊維「スパンデックス」が開発されました。「ストレッチ・ブラ」の箇所に説明したように、この素材はゴムによく似ていますがゴムよりはるかに老化しにくく、ファンデーションの材質としては画期的なものでした。スパンデックスによってブラジャーの形は豊富になりました。
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